Horse Capital of the World=世界のウマの首都

★キーンランド競馬場とサラブレッド ★ホースパーク(世界馬術大会)サドルブレッド

★レッドマイル競馬場とスタンダードブレッド ★カウボーイとクォーターホース


  レキシントン周辺では、どの牧場もサラブレッドだらけですが、ウマはサラブレッドだけではありません。馬車馬や農耕馬は別にして、ウマの種類はどうやら目的別に4大別されるようです。

========== キーンランド競馬場とサラブレッド ========== 

 キーンランド競馬場(Keeneland Racetrack)では、春と秋にサラブレッドのセリ(Auction)があって、世界中から名馬を求める人々がやってきます。中でも、レキシントンに牧場を持つドバイの首長は別格。小さなブルーグラス空港にも着陸できるよう特注した短躯のジャンボジェットで、所有馬を連れ飛び回っています。空港でチップを何千ドルも払おうとして、職員が断るのに困ったとか…2階のオフィスには、国際空港でもはないのに(馬のために)税関があります。

 80年代の半ば以降、レキシントンには自動車産業関連の駐在員をはじめ日本人が多数住むようになりましたが、その前から競走馬の仕事に従事する人々だけは頻繁に行き来していたのだそうです。

 ですから、4ヶ所の姉妹都市の名前を見ても、日本の相手は北海道の新ひだか町(旧静内=しずない)…日高郡では、日本の競走馬の8割が生産されているのだそうです。残りも、フランスのドービル市(Deauville=仏語:ドビーユ)、アイルランドのキルデア郡(County Kildare)、イギリスのニューマーケット市(Newmarket)と名馬の産地や集積地として名高い場所ばかりです。 「e-ニュース」第17号(07年11月)の姉妹都市の記事ご参照

サラブレッドの三大始祖

ゴドルフィンアラビアン ダーレイアラビアン バイアリーターク

Godolphin Arabian 1724〜1753年

Darley Arabian 1700〜1730年

Byerley Turk 1679〜1705年

========== ホースパーク(世界馬術大会)とサドルブレッド ========== 

開催地
1990 ストックホルム(スウェーデン)
1994 ハーグ(オランダ)
1998 ローマ(イタリア)
2002 ヘレズ・デ・ラ・フロンテラ(スペイン)
2006 アーヘン(ドイツ)
2010 レキシントン(アメリカ)

 さて、レキシントン北の町はずれ=I-75のExit120付近にあるケンタッキー・ホースパーク(Kentucky Horse Park)では2010年に「世界馬術大会(World Equestrian Games)」が開催されました。

 馬術競技の大舞台で活躍するのは、ケンタッキーのプランテーション(大農園)オーナーたちにより開発されたサドルブレッド(American Saddlebred)という馬種です。

 世界馬術大会の最大のスポンサーは、動物用飼料の添加栄養剤を世界に供給するオルテック(Alltech)という企業でしたが、この会社を含め、ブルーグラスで競馬産業を育ててきたのは、名馬を育てる伝統のあるアイルランド人を父祖に持つ人々でした。

========== レッドマイル競馬場とスタンダードブレッド ========== 

 レキシントン3番目の馬の競技施設はレッドマイル競馬場(Red Mile Race Track)です。ここでは馬がハーネスという二輪車に御者を乗せて引きながら走る競馬が行われています。この種の競技に向いているのは、スタンダードブレッド(Standardbred)など一回り大き目で速歩が得意な馬種なのだそうです。この競馬場にはナイターもあるので、ディナーを予約して観戦する粋な楽しみ方もあります。サラブレッドの競馬に比べると、本命の的中率がだいぶ高いように感じました。

========== カウボーイとクォーターホース ========== 

 レキシントンの話題からはそれますが、この際もうひとつ付け加えるなら、馬に関する競技としては、このほかに「1/4マイル競馬(Quarter Mile Race)」と「ロディオ(Rodeo)」があります。1/4マイル競馬は、植民地時代のバージニアを中心に流行った競馬で、直線コースを一気に駆け抜ける瞬発力のある馬が好まれたそうです。この馬が、西部の大草原地帯で野生馬マスタング(Mustang)などと掛け合わされてクォーターホース(American Quarter Horese)という馬種に改良されます…西部劇やロディオに登場する極めてアメリカ的な馬で、ネブラスカ、カンザス、オクラホマ、テキサスのカウボーイ地帯が本場です。

 そういえば、ケンタッキー・ダービーもイギリスをお手本に、ご婦人はつばのひろ〜いダービー・ハットをかぶって観戦するのが慣わしのようで、ケンタッキーやアメリカ東部のウマには少しヨーロッパ的でお高くとまったところがあるのかもしれません。