★チャタヌガ・チューチュー ★蒸気船デルタクイーン
チャタヌガのダウンタウンには、「チャタヌガ・チューチュー」という風変わりな名前のホテルがあります。「チューチュー(Choo Choo)」は日本語の「シュッシュッポッポ」。1941年のラブコメ・ミュージカル映画の中で、ニューヨークからチャタヌガに旅するシーンに用いられた挿入歌で有名になりました。
グレン・ミラー楽団の演奏。1949年生まれの私も子供の頃によく聞いて、しっかりメロディを覚えています。グレン・ミラーは、ビッグバンド・ジャズの旗手として1939〜44年に大活躍しましたが、前線慰問旅行中に飛行機事故に遭い40歳の若さで亡くなりました。 歌詞に登場するのはニューヨークからチャタヌガに向かうサザン鉄道のバーミングハム特急(Birmingham Special)です。(私の訳では)、4時15分前にニューヨークのペンシルバニア駅で汽車に乗り、雑誌を読んでいるうちにボルチモア付近まで来るので食堂車で夕食、南北カロライナ州を通過する頃に(朝食の)ハムエッグを食べ、汽笛が8つ鳴ってバーが開く頃にはテネシーはもうすぐそこ。 バーミングハム特急は1970年に廃止になりましたが、当時のターミナル駅はホテル「チャタヌガ・チューチュー」と生まれ変わり、客車のお部屋に泊まったり食堂車のレストランで食事することもできるそうです。構内には映画のモデルとなった機関車が展示されていますが、実にかわいらしい木炭機関車で、これがニューヨークとチャタヌガを結んでいたわけではありません。 チャタヌガはアトランタとともに1880年代から南部の鉄道路線のハブとなり、1930年代のテネシー渓谷開発計画で弾みをつけ、当時は「南部の発電機(Dynamo of Dixie)」と呼ばれる工業都市になっていました。テネシーバレー鉄道博物館は、往時の鉄道の歴史を残しています。市内を6マイル行き操車場でグルッと向きを変えて戻ってくる1時間のツアーやチカモーガの史跡をじっくり観光して帰ってくる6時間ツアーなど蒸気機関車の旅もどうぞ。 が、工業化はよいことばかりではありません。公害でスモッグが街を覆うようになって、1969年には全米最悪の大気汚染都市に指定されてしまいます。その後の不況では雇用機会も減り、1980年代には10%の人口減を記録しました。しかし、住民参加で観光を軸にまちづくりを進め、今では日本の自治体が次々に見学に訪れるほど暮らしやすい都市に生まれ変わったのです。 ダウンタウンではマイカーの乗り入れが制限されていて、代わりに無料のシャトル電気バスが5分ごとに運行しています。ホテル「チャタヌガ・チューチュー」も都市再生計画の一環でした。ダウンタウンの北でテネシー川にかかるウォルナット通橋は老朽化して放置されていましたが、1993年には歩行者専用橋として15年ぶりに復活しました。
岸辺にはテネシー水族館とハンター・アメリカ美術館やクリエーティブ・ディスカバリー博物館が建てられ、北には8マイル(13km)の遊歩道が続いています。水族館では、春から秋にかけ毎土曜日にはチャタヌガ・マーケットの出店ができてミュージシャンの公演も楽しめるそうです。対岸のクーリッジ公園には引退した蒸気船デルタクイーンが係留されて、これもホテルに変わりました。 チャタヌガ動物園は、少し離れたワーナー公園(Warner Park)にあります。 |