現代ポップ音楽の発信地
★カントリーミュージック
★リズム&ブルースとロックンロール ★ナッシュビルサウンドとカントリー・ポップス
最近はニューヨークなど大都会に一歩ゆずるものの、テネシー州は長い間アメリカ音楽文化の発信地でした。ナッシュビルでカントリー&ウェスタンのラジオ公開放送「(注グランド・オール・オプリ」が始まったのが1925年、世界初のラジオ放送からわずか5年後…以来時と共にFMやテレビなど新しい放送形態を加えながら80年を超えて今日に至る驚異の長寿番組です。
(注)
グランド・オール・オプリ(Grand
Ole Opry)は、グランド・オールド・オペラ(Grand Old
Opera)の南部なまり表記です。
===============≪カントリーミュージック≫===============
移民の国アメリカで生まれ育った音楽には、大きく2つの流れがあります。その一つはアパラチア山脈の一帯でスコットランド系アイルランド人の移民が持ち込んだ民謡(フォーク)をベースに生まれた音楽です。バイオリン(弾き方が違うので普通はフィドルと呼ばれます)が付き物ですが、よく聞き比べてみるとスコットランドのバグパイプの旋律に似てはいませんか?
これに、ギターやマンドリン、アコーディオン、黒人の楽器から進化したバンジョーなどが加わって出来上がりです。もとは「オールド・タイム」とか「(注)
ヒルビリー」と呼ばれアパラチア山脈地方の一帯で歌われていましたが、交通網の発達や蓄音機・ラジオの発明により各地に拡がっていきました。オリジナルな色の濃いケンタッキーの「ブルーグラスミュージック」に比べて、他の音楽を取り入れて、より柔軟に変化していったのが「カントリー&ウェスタン」なのだそうです。
(注)
ヒルビリーとは元をたどればイギリスの名誉革命に由来する言葉のようです。1690年にプロテスタントのウィリアム3世(愛称:ビリー)が北アイルランドでカトリック軍を破ったときに加勢したスコットランド系アイルランド人が「ビリー・ボーイズ」と呼ばれたのが第一段階。転じて、アメリカのアパラチア山脈のヒリーな(Hilly=山深い)一帯に住み着いたスコットランド系アイルランド人の開拓者が「Hill-Billy」と呼ばれるようになりました。東部ケンタッキーやウェストバージニアなどのアパラチア山脈周辺は経済発展から取り残されて未だに貧困にあえいでいることから、ヒルビリーという言葉には軽蔑的なニュアンスが含まれます。
===============≪リズム&ブルースとロックンロール≫===============
これに対して、西部テネシーのメンフィスでは、1920〜30年代に黒人ミュージシャンが集まって、メンフィスの南に広がるミシシッピー・デルタで生まれたブルースをじっくり育てました。典型的なブルースは12小節構成。最初の2つの4小節はよく似たメロディーで起承転結の「起承」を歌っておいて、最後の4小節には別のメロディーを使い歌詞の上でも「転結」とするのがパターンです。黒人のブルーな気持ちを、さらりと歌うことを心がけます。
第二次世界大戦後のメンフィスには再びB.B.キングなどのミュージシャンが集まり、エレキギターとベースギターにドラムスを使って演奏するスタイルが流行り出します。これがリズム&ブルースで、その後、カントリーミュージックと融合しながらロックンロールというジャンルの音楽に成長していったのです。「ロカビリー(Rock+Hillbilly)」というのは初期のロックンロールの呼称です。
===============≪ナッシュビル・サウンドとカントリー・ポップス≫===============
中部テネシーのナッシュビルで、鼻にかかった歌声とやかましい伴奏のカントリーが、1950年代の後半に、洗練された新しい時代の音楽「ナッシュビル・サウンド」が生まれ変わります。コーラスと弦楽器をバックにした感傷的な歌唱に変わったのです。立役者はレコードプロデューサーのチェット・アトキンス率いるヒットメーカー・チームやRCAビクターとコロンビアなどのレコード会社でした。 メンフィスで見出されたエルビス・プレスリーも、ナッシュビルのRCAと契約してから有名になったので、ナッシュビルサウンドの仲間に入れることができます。
1970年代も後半に入るとナッシュビル・サウンドにソフト・ロックが融合する傾向が強まり、呼び名もカントリー・ポップと変わりますが、ナッシュビルのミュージック・ロウ(Myusic
Row=音楽街)は今日に至るまで現代ポップミュージックをリードしているのです。
リズム&ブルース
⇔
(ロックンロール) |
ナッシュビルサウンド
(カントリー・ポップ) |
⇔
カントリーミュージック
(ヒルビリー/ホンキートンク) |
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2006年
B.B. King @White House |
Elvis Presley (監獄ロック) |
1999年
Grand Ole Opry (June Carter Cash演奏) |
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