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アメリカ生活・e-ニュース

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2006年7月(創刊号)8月(第2号)9月(第3号)10月(第4号)抜粋

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インターステート・ハイウェイは50歳

 もともとは軍事目的で計画された高速道路です

 先日(2006年6月29日)50周年式典があって初めて知ったのですが、「インターステート・ハイウェイ」は正式には「Interstate and Defense Highway」というのですね。アイゼンハワー大統領が、ナチス・ドイツの遺産アウトバーンに学び軍事利用を想定して進めた計画で片道3レーンが標準です。2002年10月現在で総延長は46,726 マイル(75,198 km)に及ぶそうです。それに対して、1926年にスタートしたUSXXという番号の付いた「US Highways」は、州を越えて全米を結ぶ点は共通ですが、実は州や市町村の管理する道路です。

 米国中西部から南部に進出する日系自動車産業の立地は、インターステートなしには考えられません。ケンタッキーはど真ん中、トヨタがレキシントンでクロスするI-75とI-64の十字架に沿って生産拠点を配置してきたことは、地図を見れば明らかでしょう(赤い細線はインターステートとインターステートに準ずる高速道路網を表わしています)。部品メーカーや設備メーカーの配置までは書き込めませんでしたが、グリーンの線で表わした3本のインターステート周辺に、自動車関連企業の多くが集まっています。

 ほかに、今回はケンタッキー周辺で進んでいる3本のインターステート延長計画(図の青い線)についても調べました。運転が苦手であまり地図を見る機会のない奥様も、この際、インターステート沿線の地理を勉強してみませんか?このメルマガでは、これから地理、気象、歴史などを皆さんと一緒に調べていくつもりです。手始めに、まず身近なインターステート網をよく覚えてください。

I-75とKing's Highway 401(カナダ)

 この道をどんどん南に行くと、ディズニー・ワールドのあるオーランド付近からマイアミ方面に至ります。北向きにどんどん行けばトロントを経てモントリオールやケベックに至るいわゆるメープル街道ですが、北半分はただの観光ルートではありません。レキシントンの隣町ジョージタウンと、トロントから車で2時間西のケンブリッジで、トヨタ工場が相次いで生産を開始したのは1988年のことです。79年の第2次石油ショックを機に北米で日本車の売上が伸び、自動車摩擦は80年代の政治問題になっていました。82年にはオハイオでホンダ、83年にはニッサンがテネシーで生産を開始しましたが、トヨタは84年にGMと合弁のNUUMI(サンフランシスコ近郊のフリーモント)を稼動させてからも単独進出には時間をかけ日米両政府をやきもきさせていました。

 シンシナティ-ノーザン・ケンタッキー国際空港の側には北米の生産を統括管理するTEMAの本部があり、技術開発部門は「自動車の都」デトロイトにあります。カナダでは、ケンブリッジ工場からあまり遠くないウッドストックに北米第7工場が作られる計画です。

I-64

 西の起点セント・ルイスで空高く逆放物線を描く「ゲートウェイ・アーチ」は、1804年にジェファーソン大統領が太平洋への道を探すべくルイス&クラーク探検隊を派遣した偉業を記念するモニュメントです。乗物で最上部の展望台まで行けるようになっています。東の端は、海軍基地で有名なノーフォークです。I-64は東西のトヨタの幹線で、東のウェスト・バージニアにはエンジン工場、西のエバンスビル近郊にはインディアナ工場、セント・ルイスにもアルミ部品製造の子会社があります。

I-65

 ルイビルを通ってI-75と並行して南北に走る幹線です。北のインディアナ州は、「インディ500」の本場だけあって自動車産業も集積しています。インディアナポリス北方ラファイエットのスバル(富士重工)工場では、提携により一部トヨタ車の生産も始まると報道されています。

 進路を南に取ると、テネシー州ナッシュビル近郊は北米ニッサンの本拠地です。以前はカントリー&ウェスタンを聞かせるオプリー・ランドというテーマ・パークがあったのですが、いつの間にかアウトレット・モールに変身、隣接のホテルと観光船だけが当時の風情を残しています。

 もう一つ南のアラバマ州では、ハンツビルにトヨタ(エンジン工場)、バーミンガムにホンダが進出しています。アラバマ州といっても馴染みが薄いかもしれませんが、映画「フォレスト・ガンプ」で主人公がエビ漁をしていたのがI-65の南端同州モービルの近郊です。南下するに従い、シーフードがおいしくなっていくのが分かります。

I-69と計画路線

 現在のI-69はヒューロン湖のほとりポート・ヒューロンからインディアナポリスを結ぶ短い路線ですが、計画では、西海岸に沿って縦貫するI-5以来初のカナダ国境とメキシコ国境を1本で結ぶスーパー・インターステートになる筈です。メキシコの工業都市モンテレーに通じる路線は3案あるそうですが、インディアナポリスからエバンスビル、メンフィスを通ってヒューストンまではほぼ確定してきました。もっとも、インディアナでは豊かな自然林の真っ只中を通すことになるので反対運動もまだ根強いということです。

 レキシントンとヒューストンは直線距離で約9百マイルで、マイアミまでの距離と変わりません。テキサスとインディアナやケンタッキーが対角線で結ばれたら、元気があれば車で朝出てその日のうちに着くことも不可能ではありません。トヨタの北米第6工場を建設中のサン・アントニオは、メキシコからの独立戦争で義勇軍が立てこもったアラモの砦で有名ですが、市内に運河が巡らされていて夏にも涼のあるエキゾチックな街です。

 途中、ミシシッピー川中流のテネシー州メンフィスは、小泉首相も訪れたエルビス・プレスリーの生誕地です。ナイル川の都市にちなんで命名しただけあって、エジプトのピラミッドを模した2万人収容のスポーツ・アリーナもあります。対岸のアーカンソーには日野自動車が工場を建設中です。知名度は低いものの、クリントン大統領やマッカーサー将軍が生まれた州です。

I-66と計画路線

 もともとは首都ワシントンDCとカルフォルニア州サンディエゴを結ぶ大陸横断の大構想でしたが、太平洋側=カンサス牛で有名なウィチタより西の半分は交通量も少なく環境問題もあるとのことであえなくキャンセルされてしまいました。そればかりか、これまで開通したのは東端のたった78マイルという寂しいインターステートでしたが、ようやくケンタッキー州で大筋が決まり計画が徐々に進んできました。当初はレキシントンを通す案もあったのですが、勝ったのは、イースタン・ケンタッキー南東端パイクビルから、既存のパークウェイ伝いにI-65のボーリング・グリーンを経由ケンタッキー最西端のパドゥーカに至る路線です。

 パドゥーカに近いテネシー州境には巨大な湖が2つ並んでいます。ルーズベルト大統領のニューディール政策「テネシー川開発計画(TVA)」でできたダム湖です。西側のケンタッキー・レークひとつでも、琵琶湖に匹敵する広さがあります。不動産ブームで、周辺の別荘もずいぶん増えているようです。

 ミズーリ州に入るルートはまだ決まっていませんが、ミシシッピー川を渡る橋の候補地付近はオハイオ川とミズーリ川が合流する大湿地帯で、まるで河口の三角州のようです。観光スポットとして注目されてはいませんが、日本人ならスケールの大きさにきっと感動するでしょう。現に、合流地に近いイリノイ州の町の名前がカイロ、カイロがメンフィスの上流にあるのも妙ですが…。

I-73/74と計画路線

 今までホンダの話題はあまり出てきませんでしたが、I-75とI-64がトヨタ幹線なら、I-73/74は将来ホンダ幹線になるかもしれません。現在のI-74はアイオワ州ダベンポートからインディアナポリスを経てシンシナティに至る短い路線ですが、いずれアパラチア山脈を超えてI-73に接続、「ゴルフ場天国」のサウス・キャロライナ州マートルビーチ付近へと延伸する予定です。

 ホンダは、1979年にコロンバス近郊のメアリーズビルで2輪車の製造を始めて以来、オハイオ州中心で発展してきましたから関係企業の多くは州内や近隣に面で展開しています。他メーカーが競って南下しようとする中で、ホンダが次期工場をI-74沿いのインディアナ州グリーンズバーグに作る決断をしたのもオハイオの3工場に近いロケーションを考えたからでしょう。マートルビーチに近いティモンズビルでオフロード・バギー車を生産しています。

 シンシナティからウェスト・バージニアへの路線は3案あるそうです。オハイオ州はオハイオ川北岸のポーツマスを経てウェスト・バージニアのハンチントンに抜ける2案、ケンタッキー州はノーザン・ケンタッキー経由南岸を進みアッシュランドでI-64に接続する案をを押しているのだそうです。

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