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アメリカ生活・e-ニュース

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2008年3月15日(第21号)

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アメリカ人の食卓A

 ハンバーガーとファースト・フードの物語

 先日、「ケンタッキー・フライド・チキン」のお話をしましたが、今回はアメリカ人の食卓シリーズ第2回として、ハンバーガーについて雑学を深めていただきたいと思います。

 先日、テレビジャパンを見ていたら、各地を巡りながらアメリカの歴史をたどるNHK番組「アメリカ魂のふるさと」でコネチカット州ニューへブンを一つの「ハンバーガー発祥の地」として紹介していました。元は地元のステーキ店。アイビー・リーグの中でも名門中の名門イェール大学の目の前にある「ルイス・ランチ(Louis Lunch)」という小さな食堂で、1990年に忙しいビジネスマンのために、たまたまトーストパンのサンドイッチを作ったのが、近代的なハンバーガーの始まりというお話です。このお店は、いまだにケチャップもマスタードもない当時のスタイルの「ハンバーガー」を売っていますが、座席が少ないのでお店で食べるには予約がいります。

アイビー・リーグ…つた(Ivy)がからまる植民地時代からの古い学舎を想像させる東部8大学からなる大学スポーツ協議連盟の名前です。スポーツよりも、成績優秀な名門大学の代名詞として使われることの方が多いようです。

US news & World Ranking Report大学ランキングによるアイビー・リーグ校順位 (2008)

Harvard Univ. Cambridge, MA

A

Yale Univ. New Haven, CT

B

Princeton Univ. Princeton, NJ

@

Columbia Univ. New York, NY

H

Cornell Univ. Ithaca, NY

K

U. of Pennsylvania Philadelphia, PE

D

Brown College Providence, RI

M

Dartmouth College Hanover, NH

J

 誰が元祖でもかまわないような気もしますが、アメリカ人の「食の原点」ですから各州各地の「お国自慢」争いに発展しています。

 ほかに元祖を名乗るのは、ウィスコンシン州のシーモア、ニューヨーク州のハンバーグ、テキサス州のアセンズなどですが、いずれの説も、ハンバーガーは、1885年頃から全米各地の市場や見本市の会場で売られ始めたというものです。中でも普及を助けたのは、コロンブスのアメリカ大陸発見400周年を記念するシカゴ万国博(1893)とルイジアナ購入100周年を記念するセントルイス万国博(1904)で、ホットドッグやアイスクリーム、アイスティーとともに、一躍、買い食い文化の花形賞品となったそうです。

 そもそもハンバーガーの原形は、チンギスハンの蒙古帝国がロシアに持ち込んだ遊牧民族の携帯食からヨーロッパで進化した「タルタルステーキ(タタール人のステーキ)」です。これがドイツ経由でアメリカにもたらされ、玄関港ハンブルグの名前で呼ばれるようになったというのが定説…19世紀末から20世紀初頭にかけての2つの万国博では、ハンバーガーは「ハンブルグ」タイプのサンドイッチ、ホットドッグは「(ソーセージで有名な)フランクフルト」のタイプと、ドイツの2つの大都市の名前で区別するのがトレンドだったのでしょう。

2005年ハンバーガー・チェーン市場シェア 

1988年ハンバーガー・チェーン市場シェア 

資料 QSR Report (2005), Nation's Restaurant News (1988)

QSR Reportハンバーガー部門には、Dairy Queen, Steak 'n Shake, Checkers Drive-In/ Rally's, Culver'sもありましたが、比較を容易にするため省きました。

 その後、食肉産業の不衛生な慣行が暴露されたりしてハンバーガー人気もいったん下火になったそうですが、第二次ハンバーガー・ブームは1921年にカンザス州のウィチタで始まります。ハンバーガー専用の丸いパン(bun)を開発したレストラン「ホワイト・キャッスル(White Castle)」がブレークします。ファーストフード・チェーンの歴史の開幕です。

 1948年にマクドナルドがレストランに「流れ作業」を導入して今日のファーストフード産業繁栄の基礎を築きます。たまたま、1988年のハンバーガー・チェーンのアメリカ国内市場シェアを見つけたので、最近のデータと比べてみると、マクドナルドのシェアは17年間でほとんど変わっていません。この間に、アメリカ人を肥満地獄に引きずり込んだ主犯と名指しされ数々の訴訟に巻き込まれてきましたが、それでも「マクドナルド帝国」は健在です。

 マクドナルドの看板商品が「ビッグ・マック(Big Mac)」ならバーガー・キングの場合は「ワッパー(Whopper)」です。ワップはぶん殴ること、ワッパーといえばどでかいものという意味で、マクドナルドより一回り大きなハンバーガーを売ってきましたが、アメリカ人のダイエット志向の意識変化はバーガー・キングのシェアに負の影響を与えたようです。

 躍進したのはウェンディーズです。いち早くチキン系や野菜系のメニューを充実させてきたために、アメリカ人の「食の意識」の変化にうまく適応できたのではないかと思います(個人的な感想)。

 ドライブイン型のソニックが急速にシェアを伸ばしたのは、ソフト・ドリンクを中心に顧客嗜好の多様化に応じてメニューの改善に成功したせいでしょう。日本のファーストフードには及びませんが、アメリカでも昔のままの単純メニューでは競争についていけない時代になってきました。

 西部が地盤のカールズ・ジュニアは業績不調のハーディーズを買収して全米展開を果たしましたが、それでも合計ではシェアを半減させてしまいました。

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