人材不足の共和党予備選挙…ロムニーが独走か?
めまぐるしく本命が替わった末に「もうええわ!!」
共和党のイメージ |
戦後共和党の黄金時代は、レーガン政権。平均的な共和党支持者にとっては、1980年代に、小さな政府で財政再建を進め、強硬外交でアメリカの威信を高め、家族の絆を訴えたレーガンこそ理想の大統領像なのですが、今回の共和党予備選挙には、レーガン政策を引き継ぐ清潔で賢い大統領候補が見当たらなくて困っています。
ロムニー前マサチューセッツ州知事とポール上院議員はそれぞれ「中道」と「自由至上主義」を代表する政治家です。有権者は、保守本流の中から「本命」を探そうと努力してきましたが、人気トップに躍り出た候補者は次々に馬脚を露呈し、そのたびに「本命」がめまぐるしく入れ替わってきました。
共和党大統領候補予備選挙世論推移(全米ベース)
原資料:
The
Wall Street Journal Election 2012
1月3日のアイオワ州党大会と1月10日のニューハンプシャー州予備選挙に連勝して、ロムニーが共和党候補に選ばれる確率は高くなってきましたが、全米の世論調査ではロムニー支持が大きく増えているわけではないので予断は許しません。
人気急上昇中のサントラム上院議員も「保守強硬派」過ぎて今後も躍進が続くとは限りませんが、保守派には「反ロムニー」で結束しサントラムを応援しようという動きが出てきました。
候補者別に今回の選挙戦を振り返って見ると、アメリカの世相がよく分かります。
ロムニー…医療改革の先駆者
Mitt
Romney |
マサチューセッツ州知事時代に州民皆保険を実施。民主党以上にリベラルだったが、2008年の予備選出馬を契機に保守的な言動をするようになった。モルモン教信者であることが、最大の弱点。 |
ポール…連邦準備銀行廃止は本気?
Ron
Paul |
テキサス選出下院議員でティーパーティーの旗振り役。連銀の廃止や海外駐留米軍の撤収など主張は非現実的。元来、「自由至上主義」は移民や同性愛の自由にも寛容で、共和党保守本流とも一線を画す。 |
ペイリン…アラスカのカウガール
Sarah
Palin |
前アラスカ州知事で2008年の共和党副大統領候補。ティーパーティー運動の先頭に立っていたが、扇動的で民主党女性議員射撃事件を誘発したとして非難を浴び、予備選立候補で断念。 |
バックマン…勘違いと失言の女王
Michelle
Bachman |
ミネソタ選出下院議員で、議会内ティーパーティー運動を創設。選挙戦では、勘違いに基づく発言で民主党を攻撃したりして墓穴を掘り、夏以降失速。故郷のアイオワ党大会で大敗して、撤退。 |
ペリー…物忘れを連発
Rick
Perry |
ブッシュ大統領の後を継いで、副知事から昇格したテキサス州知事。テレビ公開討論やインタビューで、主要政策に関する人物やキーワードを思い出せず立ち往生する場面が度重なり、一気に失速した。 |
ケイン…9-9-9
一本槍
Herman
Cain |
ピザチェーンの経営者。法人税と所得税を一律9%に減税し、9%の連邦消費税導入を提唱。外交など他の分野については話題が及ぶことを避けた。複数のセクハラを糾弾されて、選挙戦から撤退。 |
ギングリッチ…離婚癖(バツ2)
Newt
Gingrich |
クリントン大統領時代に、下院議長としてホワイトハウスとわたり合った実力保守政治家。クリントンの不倫事件を糾弾するかたわら本人も現夫人と不倫関係にあったともいわれる。2度の離婚暦が障害。 |
サントラム…キリスト教原理主義
Rick
Santorum |
カトリック教徒ながら、妊娠中絶や同性婚に強硬に反対する福音派プロテスタント顔負けのキリスト教原理主義者。外交面でもブッシュ政権のネオコン強硬路線を継承する生粋の保守政治家。アイオワ州党大会で浮上。 |
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