現地マスコミの動画ニュースを日本語解説付きでごらんください
第1回はダルビッシュ投手の入団会見ほかの話題
アメリカ生活を存分に楽しむには、現地マスコミの報道に接してアメリカ文化を理解することも大切な要素です。日本人コミュニティの外に出ないと、時には暮らしの中で重要な情報を聞き漏らしてしまうこともあります。
このコーナーでは、毎月、現地マスコミの動画ニュースの中から日本人に興味深い話題を選んで、日本語解説付きでごらんいただきます。
1月20日…ダルビッシュ投手がテキサス・レンジャーズ入団
1月27日…大きな船がぶつかってケンタッキーの橋を破壊
2月1日…日本は厳冬ですが、アメリカは記録的な暖冬
1月27日…廃バス利用の地下竜巻シェルター(避難壕)
1月20日…ダルビッシュ投手がテキサス・レンジャーズ入団
ダルビッシュ投手が、アメリカにやってきます。ダラス‐フォートワース空港では、子どもたちが「Yu,Yu」と叫んで出迎えてくれました。そうっ、アメリカでは「ダル」ではなくて「ユー(有)」がダルビッシュ投手の愛称です。
右翼が狭いレンジャーズ球場
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この動画の中にはありませんが、ダルビッシュ投手は、会見の中で(おそらく冗談で)「右中間のブルペンを削って奥にしてくれと頼んだ」と語っていました(CBS)。レンジャーズ球場は、ピッチャー泣かせの球場として有名なのです。
高温乾燥のノーステキサスでは、ただでさえ打球が飛びやすいのですが、右中間のプルペンが4mもグラウンドに食い込んでいるだけでなく、右翼は左翼よりライン際で2m短くフェンスも低い上、2階席が軒先のようにせり出し、まるでホームランの受け皿…俗に「ホームランポーチ」と呼ばれています。
特に左打者には有利な球場で、右腕のダルビッシュ投手がどこまで活躍するのか、全米の野球ファンが注目しています。
1月27日…大きな船がぶつかってケンタッキーの橋を破壊
アメリカ東部の航行可能な内陸水路
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橋を壊すほどの貨物船がケンタッキー州の川を航行しているとは知らず、北米在住20年の私も、ニュースの見出しを見たときは驚きました。
MV
Delta Mariner |
橋を壊したのはデルタ・マリナー号…アラバマ州デケーターのボーイング社の工場から、全長49m(230トン)のロケットのブースターなどををフロリダとカリフォルニアの空軍基地に届けるために特別に設計された船でした。水深の浅い川も、外洋を航行することもできます。
U.S.
Space & Rocket Center |
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デケーターとお隣のハンツビルは、1950年代後半から、アメリカの宇宙産業とともに発展してきた都市圏です。宇宙飛行士にあこがれる子どもたちの夢を育てるスペースキャンプがあります。
デルタ・マリナー号は、今回、テネシー川を下り、オハイオ川からミシシッピー川を下るコースを選びましたが、(図では点線の水路伝いに)アラバマ州のモービル経由メキシコ湾に出ることもあります。
現場は、テネシー川下流をせき止めてできたダム湖の中央。これまで1日に平均2800台の車が通過していたそうですが、橋が修復されるまでドライバーは80qの回り道をしなければなりません。
事故の原因は報道されていないようですが、この冬の降水量が多くて、ダム湖の水面の高さが通常より高すぎたのかもしれませんね。
橋の東=テネシー川とカンバーランド川にはさまれた半島状の地域は、国立保養地にも指定されている行楽地です。
2月1日…日本は厳冬ですが、アメリカは記録的な暖冬
ここ数日は少し寒さが戻りましたが、今年は、シアトルなどノースウェスト地方とフロリダの先端を除き、記録的な暖冬が続いています。ニューヨーク州北部のレイクジョージアでは湖が凍らず、ウィンター・カーニバルがキャンセルになりました。アイオワ州では(例年より湖の氷が薄く)転落事故が起きました。カリフォルニアの果樹園でも、かんきつ類が例年より早く開花しています。ネブラスカには、早くも渡り鳥が戻ってきました。
【最新の太平洋の表面海温推移】
2010年に初夏から、エルニーニョ現象の逆で、東部・中部太平洋の海水温が低下するラニーニャ現象が(夏にいったん中断したそうですが)続いています。ラニーニャ現象が起きると、日本では厳冬になり、アメリカの南部では暖冬になる傾向があるといわれているのですが、それでは、去年の寒い冬は何だったのでしょう?
暖かいのは結構ですが、ジェット気流のコースがめまぐるしく変わり、気温の高低差が激しいので、健康管理にご配慮ください。ラニーニョは12〜2月ピークで、3〜5月まで続くものと予想されています。
1月27日…廃バス利用の地下竜巻シェルター(避難壕)
一般に「竜巻街道」と呼ばれているのはテキサス・オクラホマ・カンザスのプレーリー地方ですが、昨年は、4月から6月にかけて、アラバマ州を中心に竜巻が南部を何度も襲い、記録的な死者を数えました。
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2011年(⇒拡大) |
2012年(⇒拡大) |
■2011‐12年竜巻発生件数推移 ■過去最大値 ■過去最小値 ■■■過去平均の範囲 |
今年は竜巻が少ないはずの1月に、昨年と同じような地域で竜巻が発生しました。一つ前の記事のように、ラニーニャ現象が3〜5月まで続くとすると、今年も恐ろしい竜巻が各地を襲うかもしれません。
ニュースに登場するアラバマ州のご夫婦は、竜巻に弱いトレーラーハウス団地に住んでいます。5年前に、廃車になったバスを800ドルで買い求め、地中に穴を掘って埋め、75人収容可能な地下シェルター(避難壕)にしました。昨年の竜巻でも、みんなの役に立ったと喜んでいます。
昨年の竜巻は、ノースカロライナ州などこれまでは竜巻が少なかった地域にも、死者を含む大被害をもたらしました。1974年には、ケンタッキー州を中心に、歴史的な竜巻大発生がありました。中西部や南部はどこにいても危険ですから、他人事と思わず、いざというときの避難場所(地下室や1階中央部の頑丈な部屋)くらいは、決めておきましょう。
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