早わかり「シカゴの観光と行楽」
市内と郊外のレストラン300軒のグルメ地図も完成
銀座や新宿、渋谷、池袋。六本木や原宿、アキバ。上野や浅草。東京なら、細部に至るまで繁華街の地名や個性を知っていますが、シカゴとなると、何も知らずにブラッと遊びに出かける人も多いのではないでしょうか?
ダウンタウン
シカゴの「丸の内」は、高架鉄道の環状線があってビジネスの便がいいダウンタウンのループ。
シカゴは、アメリカ最大の農畜産物の集積地として発展しましたが、その売買を支えてきたのが、ループの二つの商品取引所です。
創立は1848年ですが、大阪の堂島米会所が先物取引を始めたのは1730年ですから、日本の方が大先輩です。
ザ・ループには、劇場街(シアターディストリクト)や美術館などの文化施設もあります。オバマ大統領の初当選が決まった時に、祝賀集会が開かれたグラントパークには、大きなヨットハーバーがあります。
シカゴの「銀座」は、ニアノースのマグニフィセントマイルです。ミシガンアベニューの跳ね橋を越えて北に1マイル
(1.6km)
弱の目抜き通りで、縮めて呼べばマグマイル。名門デパートが4つあります。
観光と行楽にはおいしい食事も欠かせません。そこで、今回はシカゴ市内のグルメ・e-マップとシカゴ郊外のグルメ・e-マップを作り、数あるレストランの中から300軒あまりを選んで掲載してみましたが、なんとそのうち約80軒がニアノース。フレンチ、ステーキ、シーフード…シカゴで最高の料理を楽しむなら、文句なくニアノースです。
シカゴの「上野」は、ニアサウスの博物館村(ミュージアムキャンパス)。1933年に開かれたシカゴで2回目の万博の会場です。世界で初めて海水魚を展示した内陸水族館と西半球初のプラネタリウムもこの時に開館しました。
フィールド自然史博物館は、サウスサイドのジャクソンパークで開かれた1893年の新大陸発見400周年記念万博の会場から移設された建物です。最初の万博の目玉は世界初の観覧車で、蛍光灯や発電機、高架電車、電動ボート、モーターにより動く歩道など電気関連の多数の新技術が紹介されましたが、残念なことに、大多数の建物が終幕からわずか9ヶ月後に火災で焼失し、今もジャクソンパークに残るのは科学産業博物館だけです。
ノースの若者文化
さて、ダウンタウン北部のニアノースに話を戻しましょう。このあたりは、ストリータービルという愛称で呼ばれることがあります。シカゴ川河口に設けた埠頭が湖岸の流れをせき止め、自然に土砂が堆積して砂州ができかけたところに、さらにシカゴ大火で生じたガレキを廃棄して埋め立てた造成地。埋め立てを推進し、ウソ八百を並べて土地を我が物にしようとした悪党こそ、Mr.ストリーターです。
湖岸のビーチは市民の憩いの海水浴場で、ゴールドコーストの高級マンションを左に見てレイクフロントを北に歩くと、シカゴ最大の動物園や植物園があるリンカーンパークがあります。
ニアノースの北部からリンカーンパークにかけては1850年代にカトリック系ドイツ移民が住み着いたオールドタウン…マグマイルのウォータータワーとともにシカゴ大火でも焼けなかった貴重な7棟の建物が残っています。
古くからの住民が都市のドーナッツ化現象で郊外に転居して行った後、オールドタウンには1960年代からヒッピーや芸術家が住み始め、若者文化は次第に北に拡がっていきます。レイクビューのシカゴ・カブズの球場付近にボーイズタウンと呼ばれるゲイの町があり、アップタウンのアンダーソンビルが、スウェディッシュタウンからガールズタウンと呼ばれるレズの町に変わっていったのも、その流れです。
リンカーンパークの西隣ローガンスクエアは、ヒスパニックと黒人や東欧系のブルーカラーが住む町でしたが、80年代に進められた住民運動の成果でヤッピー(若いエリートサラリーマン)が好んで移り住み、お洒落なショッピングが楽しめる町に生まれ変わってきました。
エスニックタウンのグルメ
民族料理に興味があれば、シカゴのダウンタウンとノースをぐるっと取り囲むエスニックタウンを一つ一つ訪ねてみましょう。
中華なら、サウスサイド・アーマースクエアのチャイナタウン。アップタウンのニューチャイナタウンはリトルサイゴンとも呼ばれるように、1979年の中越戦争の頃に分派した新しいチャイナタウンで、ベトナムやカンボジアなど東南アジア系の料理も食べられます。
ニアウェストのグリークタウンは、ダウンタウンにも近く観光客にも人気の盛り場です。ここでは本場のギリシャ料理が味わえますが、ギリシャ系住民は今ではどこかに移り住んで近所にも誰もいないそうです。
イタリアンなら同じくニアウェストのリトルイタリー。このあたりは、シカゴブルースとシカゴスタイルのホットドッグやイタリアンビーフなど独特の食文化の発信源です。イタリア料理を食べるなら、ロワーウェスト・リトルトスカーナのイタリアンレストランもお勧めです。
ロワーウェストのピルゼンの名は、ラガービール発祥のチェコ・ピルゼン地方に由来します。確かに昔はチェコ系移民が住んでいた町なのですが、現住民の多数派はメキシコ系で、シカゴで最高のメキシコ料理を召し上がるならここ。さらに、最近は再開発が進んでお金持ちも住んでいます。
ウェストタウンには、ポリッシュダウンタウンという大きなポーランド系コミュニティと、その一角にユークレインビレッジというウクライナ系のコミュニティがあります。東欧料理といっても馴染みがないと思いますが、ピエロギ(ポーランド)やバレニキ(ウクライナ)という餃子風の食べ物はいかが?中味は、肉のほかに、ポテト、チーズ、キャベツ、半熟卵、マッシュルーム等々、別に、チェリーやイチゴなどのベリー、桃にリンゴなどを詰めたデザート系もあるそうです。
ファーノースのジャーマンタウンは、リンカーンスクエアの一角にあります。ドイツの収穫祭「オクトーバーフェスト」を一年中やっているパブもあるので、ビール党なら本場の雰囲気を味わってみてはいかが?
ファーノースには、ほかにコリアタウンとリトルインディアがありますが、韓国系やインド系ばかりでなく世界各地の料理が楽しめるでしょう。コリアタウンのシカゴ・カルビは、シカゴ・カブズのリグレーフィールドから車で15分。イチロー選手はじめ日本人大リーガーが、カブズ相手に試合の都度立ち寄るという噂で評判になりました。
シカゴの日系韓国焼肉店には、ほかにニアノースの牛角があります。郊外でも、韓国系ですが、シャンバーグのバーベキューハットやデスプレーンズのニューソウルなど炭火焼肉が食べられるお店もあります。
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