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2013年8月15日(第86号)


【ゴルフ】松山選手は幸運の運び屋(フォーチュン・キャリアー)

 メジャーや準メジャーで予選同組選手が次々優勝

 6月に全米オープンで10位。7月には全英オープンで6位。その後、カナディアンオープン19位、ブリヂストン招待21位、全米プロゴルフ選手権18位と、休みなく毎週戦いながらも着実に結果を出している松山英樹選手。トッププロの中にも、これほど安定している選手は滅多にいません。

 その間、私もテレビで松山選手連戦の応援をしていたのですが、そのうちに松山選手には同伴プレーヤーの「絶好調」を引き出す力があることに気づきました。ブリヂストンではタイガーが2日目に自己ベストタイの61で回って、逃げ切り優勝。全米プロでも、ダフナー選手が2日目にメジャー大会記録タイの63で回り、半信半疑で見ていると、最後まで崩れずに優勝してしまいました。

WGCブリヂストン招待で優勝したタイガー

 ゴルフジャーナリスト舩越園子さんの記事を読んで後から知ったのですが、松山選手がもたらす幸運は、トッププロの間でもウワサになっていました。予選同組のストリッカー選手は、全米プロ前のインタビューで舩越さんに「今週、優勝するのは僕かジェイソン(ダフナー選手)のどちらかってことだよね」と語ったそうで、そういえばストリッカー選手も2日目までは68-67の好成績でした。

 ジンクスは、信じるだけで結果に結びつくものでしょうか?それとも、松山選手には、同伴プレーヤーの集中力を劇的に高める隠れた才能があるのでしょうか?

 ジンクスの始まりは、全英オープンでした。予選同組プレーヤーのマッキロイ選手の調子は最悪で予選落ち、ミケルソン選手も最終日にはトップに5打差と彼にしては少し情けないスコアでしたが、最終6ホールの4バーディでスルスルと抜け出し、2位に3打差の大逆転優勝を果たしました。

 また、全米オープンの予選同組プレーヤーは2人とも(失礼ながら)無名選手で予選を通過できませんでしたが、そのうちの一人で20歳の新進気鋭スピース選手は、7月のジョンディア・クラシックでプロ初優勝を果たしました。

 ゴルフの「マルヤマ・シゲキ」と野球の「マツイ・ヒデキ」のおかげで、「マツヤマ・ヒデキ」は、アメリカ人にもすぐに覚えられる名前になっています。シード権も獲得して、10月以降は米PGAに本格参戦するとか…これから、楽しみが増えますね。


松山選手の戦歴


 松山選手(身長180p)は、1992年2月に愛媛県松山市で生まれました。日本アマ出場経験もあるお父さんについて4歳でゴルフを始め、(外人記者協会で行われたプロ転向記者会見によれば)小学4年生の時に初めてのパー・ラウンドを達成したそうです。

 明徳義塾中学に進んでからは、1991年9月生まれの石川遼選手(身長175p)とのライバル争いが注目されるようになります。石川選手は、2007年5月、高校進学直後に日本のプロゴルフ大会で優勝、翌年1月にはプロに転向して派手に活躍し、翌2009年からは日本のトッププロとして憧れのマスターズにも招待されるようになりました。

 しかし、2010年に東北福祉大学に進学して地道に力を蓄えていた松山選手が石川選手を急追してきます。第2回アジアパシフィック・アマ選手権で優勝して、2011年のマスターズ出場権を獲得。この年は、マスターズが三度目の石川選手も初めて予選を通過して20位に食い込みましたが、松山選手は堂々の通算27位で、1999年にセルジオ・ガルシアも抱いた(ローアマに与えられる)銀杯を獲得したのです。

 松山選手は昨年(2012年)もマスターズに出場して予選を通過しましたが、スコアが上のアマチュアがいたので、ローアマチュアの2年連続受賞はなりませんでした。秋のアジアパシフィック・アマ選手権では3連覇でマスターズ連続出場を目指しましたが、パットが不調。14歳の中国選手グラン・ティンランに、5打差で優勝を譲ります。

2012年全英オープン・アジア最終予選

 そこで、松山選手は全英オープンに目標を切り替えます。今年3月ににタイで行われたアジア最終予選で2位に入賞、上位4名に与えられる全英の出場権を獲得した上で、4月に満を持してプロ転向を発表しました。

 全米オープンの出場権も、本戦2週間前の5月下旬に開かれた日本地区予選に優勝して実力で得たもので、そもそも予選勝ち上がりの選手が、全米でも全英でもトップ10に入っただけでビッグニュース。正に、出たければ誰でも参加できる「オープン」の精神を体現したゴルファーの鑑(かがみ)といえましょう。