5月に大洪水のテキサスとオクラホマ…月降水量は新記録
FEMAの洪水リスク地図で皆さんの町をチェック!!
アメリカのような大陸で広い範囲に雨が降ると、雨水が何千kmも先の大洋に注ぐ前に大洪水が起きます。ちょうど舗装されていない田舎道に水たまりができるようなもので、油断していると、全米至る所で突然の洪水や鉄砲水(Flash
Flood)に巻き込まれ、危険な目に遭遇するおそれがあります。
テキサス・オクラホマ・メキシコで46人死亡、11人不明
先月は、月初からテキサスとオクラホマを竜巻を伴う嵐が繰返して襲い、両州で観測史上最高の月降水量を記録しました。オクラホマでは、1941年10月の記録273o/月を超える366o/月。テキサスでは、2004年6月の記録169o/月を超える224o/月。
テキサスの月降水量が低めに出るのは、一年を通じて雨が少ない西部の高地も含まれているからです。都市別の月降水量は、オースティン447o/月、ダラス-フォートワース431o/月、ヒューストン360o/月…東京の記録780o/月(2004年10月)と比べれば数字的にはまだまだですが、かなり深刻な事態だったことは察しがつきます。
下のNOAA(アメリカ海洋大気庁)の地図をごらんください。全米の5月の降水量地図です。
下旬には各地で大洪水が発生し、人的被害も死者が32人と行方不明が11人に上りました。メキシコでも、リオグランデ川を隔てた対岸の町で竜巻があり、14人が死亡しています。
5月24日朝に起きた洪水では、オースティンとサンアントニオの中間点のウィンバーリー付近で、ブランコ川(Blanco
River)の水位が1時間に8mも急上昇し、すさまじい鉄砲水が河岸のリゾートハウスなど家々と木々を根こそぎ押し流し、橋は橋脚を残して崩壊しました(⇒ABCニュース)。
メモリアルデー週末で遊びに来ていた4人家族も、父親以外の3人が不明、母親は流される家の中から姉妹に最期の電話をしてました。サンアントニオ郊外で車ごと流された女性も、午前3時前にケイタイで父親をたたき起こして、突然の別れを告げています。ホームカミングクイーン(ミス卒業生)に選ばれ、高校のプロム(卒業記念ダンスパーティ)に出席して帰宅する途中でした(⇒NBCニュース)。
26日には早朝の雨でヒューストン市内が水に浸かり、2500台の車が道路に取り残されました。前夜のNBAプレーオフの試合では鉄砲水警報が出て、ヒューストンロケッツを応援しに集まったファンが、試合後にトヨタセンターで足止めを喰らっています(⇒ABCニュース)。
ダラスの洪水
ダラスの洪水のピークは、29日でした。市の中心部ではトリニティ川が氾濫し、広い範囲で大きな被害が生じました(動画)。
ダラス郊外のプレノには来年末か再来年初めにトヨタの新米国本社ができる予定ですね。本サイトの読者の中にもダラスに引越す予定の皆さんがおられることでしょう(⇒ダラス-フォートワース・e-マップ…新米国本社予定地は★)。プレノでも、北東部のスプリングクリーク沿いの公園は今回も水浸しになりましたから、お気をつけください。
などとあれこれ考えながら、ダラスの冠水状況を調べていたら、FEMA(連邦緊急事態管理庁)の全米洪水リスク地図が見つかりました。下の地図は、上の動画でドローンが撮影していた地域の周辺です。
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FEMA全米洪水リスク地図(拡大地図)
洪水リスク地図
なかなか使いにくい地図ですが、拡大地図で、皆さんのお住まいのあたりをクローズアップしていくと、ご近所の洪水リスクのある地域が表示されます。ご近所ばかりでなく、通勤路や日常のお買物でよく通る道のリスクを知っておくことも大事です。今度の洪水では、あっちでもこっちでも車が水の中に取り残され、200人以上が救急隊のお世話になりました。サンアントニオで人々の目の前で流されたドライバーも、逆立ちした車から這い出して九死に一生を得たようですが、死者の多くは車の水没事故によるものです。
私たちが住んでいるケンタッキー州レキシントンでも、昔、夜中にタクシーを降りた女性二人が、鉄砲水の中を歩いて渡ろうとして、濁流に流され亡くなった事故がありました。今回あらためて洪水リスク地図で調べてみると、現場付近は安全な地域に変わっていました。危険な水路を地下に埋設したようです。
FEMAの洪水リスク地図が全て正しいわけではないでしょうが、FEMAがマークする危険地域より十分離れた場所であれば、おおむね安心していいのではないでしょうか。皆さん、もう一度、ご近所の水害の心配を地図でご確認ください。
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