アメリカの 「住まいと庭仕事」・e-ガイド(印刷ページ

⇒元のページに戻る

芝生の水撒き

★頻度と水量 ★渇水時の水撒き禁止令 ★スプリンクラーの種類 ★スプリンクラーホースの使用例


 一戸建てならどのお宅にも外壁のどこかに散水用の水道栓(蛇口)が付いていますね?芝刈りや施肥を業者や大家さんに頼んでも、水撒きだけは皆さんの責任。雨が少ない夏に一時帰国するときなどは、庭仕事の好きなご近所に留守中の水撒きをお願いしておかないと、芝が赤茶けて枯れてしまいますよ。

 もう一つ、冬が来て気温が零下に下がる前に、庭のホースは必ずしまうこと…屋内の水道管まで凍り付いて破裂することがあります。


頻度と水量


 高温で雨の降らない日が何日も続く場合は例外ですが、頻繁に少量の水撒きを繰り返すのは間違いです。本当に必要なときに時間をかけて大量に撒いてください。その方が、根がしっかり伸びるでしょう。中途半端な水撒きは根が深く伸びるには不十分で、それどころか菌類が芝に感染するには絶好の湿気を与えてしまいます。具体的には、1週間に1インチ(2.5cm)の割合で撒くといいでしょう。スプリンクラーの側に容器を置いて、1インチ溜まる時間を計っておくと便利です。

 しかし、1週間近く雨が降らず、猛暑と乾燥、かんかん照り、強風などの天気が続くとき、芝根の部分の土が乾いたり、粉末状になったりしてきたとき、芝の上を歩いた足跡が、いつまでも消えずに残るとき、盛り上がった場所や南斜面の芝が退色したり、青白くなってきたときには、必ず水撒きをしなければいけません。

 水を撒くのは朝が理想的です。朝の水撒きは、朝露を取り除き、病害の発生を抑える効果もあります。午後の水撒きは最悪です。すぐに蒸発して全く役に立ちません。 日暮れから夜の水撒きはセカンド・ベスト…芝の葉が長く水を含むことになり菌類の繁殖を促します。  


渇水時の水撒き禁止令


 降雨量の少ない年には、地域によって干ばつによる渇水が起こります。生活への影響は、それぞれの地方公共団体の行政サービスの能力次第でマチマチですが、水撒きの禁止命令が出ることもありますから注意してください。

 2007年はアトランタ一帯で記録的なな干ばつが起きましたが、私たちが住むケンタッキー州レキシントンでも8月から10月まで水道水利用規制が実施されました(洗車も駄目)。当初は文字通りの自粛でしたが、その後は違反者からは罰金を徴収する法的根拠のある規制に強化されています

 といっても、奇数番地は火・木・土、偶数番地は水・金・日といった緩やかな規制だったので、解禁日にきちんと水をまいていれば芝生の状態をまずまず良好に保つことができました。芝生は一度弱くなると、はげた箇所から雑草がはびこり、素人には回復させるのが難しくなってきます。渇水時ほど、許される範囲で、丁寧な水撒きが必要です。


スプリンクラーの種類


 散水用スプリンクラーは種類が多く、皆さんもどのタイプを買えばいいか迷われるのではないでしょうか?ベスト・オプションは庭の広さや形によって違います。動画で、スプリンクラーの種類をごらんください。

 わが家で最も活躍しているのは、Dのスプリンクラーホース。ホースとも、スプリンクラーともいえないので、ホームセンターで探すには苦労しますが、インターネットで探せば簡単に見つかります(ギルモア社製フレクソン社製)。50フィート(15m)と25フィート(7.5m)の2種類があります。

@ 埋め込みシステム(Stationary System)

近所に、庭に散水システムを埋め込むお宅が増えてきました。地下水を汲み上げて撒いているのだと思います。設置費用はかかりますが、水道代がかかりません。

A 振り子式スプリンクラー(Oscillating Sprinkler)

ノズルが一列に並んだ細管が、上向きの振り子のように、左右に180度向きを変えて往ったり来たりするスプリンクラー。長方形の区画に水を撒くのに便利です。

自走式スプリンクラー(Traveling Sprinkler)

B 回転式(水切り)スプリンクラー(Palsating Sprinkler)

1口のノズルを回転させて広い範囲に水を撒くスプリンクラー。遠距離にも近距離にも均等に水を撒くために、細かく水を切る工夫がされている機種が多く、パタパタと気持ちのいい音が聞こえてきます。手軽ですが、撒きしろが円形で、四角い庭をカバーし切れないのが難点。

C ロータリー・スプリンクラー(Rotary Sprinkler)

ノズルのアームが2〜3本セットで高速回転するスプリンクラー。回転式より狭い場所にねらい定めて散水するのに向いています。このタイプの発展形が次の動画で紹介する自走式スプリンクラー。

D スプリンクラーホース(Sprinkler Hose)

細かい穴がたくさん開いていて、水道栓をひねれば、そのまま散水できるホース。細長い場所に水を撒くのに向いています。


スプリンクラーホースの使用例


 スプリンクラーホースが特に活躍するのは、前庭の歩道と車道に挟まれた細長い芝生。水を撒くと、早朝の散歩を楽しむ人の迷惑になるので、散水がおろそかになりがちな場所ですが、スプリンクラーホースなら、水量を調節してチョロチョロ撒けばちょうどいい具合です。

 一つ工夫したのは、続きの芝生でお隣に近い方の散水方法。スプリンクラーホースを縦に置いて歩道にかかる部分だけはビニールで覆いました。これなら、苦情も来ないでしょう。適当な大きさのビニールがなければ、ゴミ袋でも用は足ります。見かけも悪くありません。

 ところで、気をつけたいのは夜間の保管方法。スプリンクラーホースの散水口は必ず上を向くように、できるだけ平らに伸ばして置きたいものですが、ホースをひねって撒いておくと、くせがついて思うように伸ばせなくなります。

 夜間はひねらずに撒くか、面倒なら裏庭の壁際に伸ばしたまま置いておくといいでしょう。一度くせがついてしまったホースでも、昼間、気温が高いときに伸ばせば簡単に元に戻ります。

 スプリンクラーホースを上手に設置するコツは、最初に、延長ホースとの接続部を置き、一方の端をしっかり決めて置くこと。それから、そろそろと後ずさりして、ホースを平らに敷いていきましょう。強く引っ張りすぎない限り、延長ホースがオモリになって、ホースの位置がずれません。女性でもひとりで簡単にできますから、お試しください。敷き終ってから、ねじれを補正するためにホースを踏んで歩いたら、もう完璧です。