アメリカの 「家事とお料理」・e-ガイド(印刷ページ

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和風と洋風バーベキュー

★「和風BBQ」なら牛肉 ★「洋風BBQ」なら豚肉 ★窯焼きと直火焼き ★トロピカルドリンク ★炭火のおこし方 

 ★スペアリブ(豚バラ肉)BBQ ★より本格的な燻製BBQ ★手作りバーボンBBQソース ★鶏肉用BBQソース


 バーベキューにルールはありません。プロパンガスのBBQグリルを使うと楽ですが、わが家では雰囲気にこだわりチャコール(charcoal=豆炭)グリルで焼いています。焼き始めてから困らないよう、最初に小道具がそろっているか確認しておきましょう。

 瞬間着火(Match Light)のチャコールは簡単に着火しますが、しっかり封をしておいても時間が経つと、しっけてくすぶるようになってしまいます。でも、着火剤(油)を使えばしっけても問題ありません。炭火のおこし方は後段で説明します。

 子供が食べ盛りの頃は、アメリカ人のゲストを招いて日頃の3食分くらいのお肉をサーブしました。バーベキューのシェフは、普通ご主人です。紙皿や紙コップを使えば奥様は面倒な片付けからも解放されますから、お客様と談笑してのんびりホステス役を務めてください。ゲストは、前もって都合を聞いた上で材料の一部を持っていくか、飲み物やデザートを持っていくと喜ばれます。

 バックミュージックに「レゲエ」や「ハワイアン」を聴けば、お庭はトロピカル・リゾートに早変わり。牛肉、豚肉のステーキ、鶏のもも肉、ハンバーグ、ハムとパイナップル、野菜あれこれ…私たちは、思いつくものを何でも焼いて手当たり次第に試しましたが、アメリカ人のゲストにとりわけ好評だったのが日本風の「とうもろこしのしょうゆ焼き」…とうもろこしが火力に負けて干からびないよう、まず刷毛でサラダ油を一塗りして、その上にお醤油を付けて焼くのが我が家の秘伝。

 また、パン粉や卵黄のつなぎとタマネギの入った和風ハンバーグが、ハンバーグといえば牛肉100%しか思いつかないアメリカ人の間で、意外に人気です。後段では、トロピカル・ドリンクの上手な作り方もご紹介します。


「和風BBQ(直火焼き)」なら牛のトップサーロイン


 お肉が安くて当たり前の北米で育った子供たちにはむしろハンバーグの方が好評でしたが、私と家内にとっては、やはり牛のステーキが一番のご馳走です。スーパーに行くと、様々な肉の部位があってお迷いになるかもしれませんが、バーベキュー用には、私は柔らかくてジューシーで味もしっかりしている「トップサーロイン(Top Sirloin)」をお勧めします。

 バーベキュー・グリルは、フタをかぶせて肉を窯焼き(オーブン焼き)にするのが本来の使い方ですが、特にステーキの場合は、フタなし、強火でミディアムレアに焼き上げるのが一番おいしい食べ方。ソースは、市販のバーベキューソースで結構です。


「洋風BBQ(オーブン焼き)」なら豚のスペアリブ


 アメリカ人が連想する標準的なバーベキューは、豚のスペアリブを窯焼きにするバーベキューです。スペアリブは、牛焼肉ならカルビの相当する部位。豚肉は全般的に安い食材で助かりますが、このスペアリブの部位だけは例外的に高価です。あばら骨の周辺の肉ですから、1頭の豚からは2枚しか取れません。

 後段に再掲載しましたが、私たちの「e-レシピ」でもオーブンで焼くアメリカ式バーベキューをご紹介したことがあります。私たちが使った肉は、スペアリブの代わりにベビーバックリブ。スペアリブは胸の方のアバラ肉ですが、ベビーバックリブは背中側の小型のアバラ肉です。われわれ初老の夫婦が二人で食べ切るには、スペアリブは1枚でも大き過ぎます。


窯(かま)焼きと直火焼き


 分かりやすいようにオーブンの焼き方と比較して表にしてみました。最近のオーブンの機能ダイアルはイラスト表示ですが、昔はBake-Broil-Grillと言葉で表示されていたものです。

焼き方

オーブン

バーベキュー

窯焼き

(パンやケーキ…Bake)

(肉や野菜…Roast)

上下のヒーターやファンを使い、放射熱や対流熱で焼く。

バーベキューグリルのフタをして、スペアリブなどを比較的低温でじっくり焼く。

いぶし焼き (Smoke)

ウッドチップ(木片)を燃やし、煙でいぶす。

直火焼き (Broil/Grill)

最上段を使い、上火だけで焼く。ステーキはブロイラーパンに載せ、油切りする。

フタを開けステーキやハンバーガー、パンや野菜などを直火で焼く。溶岩塊が効果的。

 「Bakeはベーカリー(パン屋さん)のベークで、オーブンで上下のヒーターとファンを使い、放射熱や対流熱でパンやお菓子などを焼き上げる焼き方。Roastも基本的には同じですが、より高い温度で、主に大きな肉の塊や野菜を焼く時に使われる言葉です。

 Broilは直火焼きのことで、オーブンの場合には、最上段に油切りのブロイラーパン(写真右)をセット、上のヒーターだけでステーキを焼いたり、メレンゲに焦げ目をつけたりする焼き方をいいます。

 Grillも同じく直火焼きのことですが、オーブン用語では一般的に下のヒーターだけで焼く焼き方を指します。

 直火焼きのステーキと窯焼きのスペアリブを一度に焼く場合は、焼き方も焼き時間も違うので、あらかじめ調理の手順を工夫しておく必要があります。


トロピカル・ドリンク


 食べるだけで、手間をかけるのが嫌いな方には向いていませんが、それを踏まえた上でお勧めしたいのは、リゾート気分を演出するマルガリータやピナコラーダなどのトロピカルドリンク。トロピカルドリンクにはかき氷(Shaved Ice)が欠かせませんが、単純なミキサーでかき氷を作ろうとすると、なかなか面倒です。かき氷製造機は20ドルくらいで売っていますが、単純なミキサーを使うなら、冷蔵庫の氷に少し水を加えて砕氷した方が楽にできます。

 かき氷は、周囲を氷水で冷やしたボウルに入れておけば暑い日でもしばらくは融けません。トロピカルドリンクの原液も、あらかじめラムやテキーラなどのアルコールとトロピカルドリンクの素をミックスして作っておきましょう。バーベキュー会場では、グラスにかき氷を入れて原液を注ぎ、マドラー(棒)でかき混ぜるだけ。


炭火のおこし方


 チャコール・グリルのフタを閉め、炎が収まった炭火(熾き火)でじっくり時間をかけて焼くと、肉汁をたっぷり閉じ込めた柔らか〜い肉に焼き上がります。チャコールの薫りも、炭火バーベキューならではの風味。

 そこで、当たり前のようですが、念のために炭火のおこし方をご紹介しましょう。グリルの底とフタにはそれぞれ空気穴がありますから、どちらもあらかじめ全開にセットしておきます。

@ グリル中央で、木炭をピラミッド状に重ねる。必要があれば、着火剤(油)をふりかけておく。

A ライターで着火。炭火の下部に火種の紙を敷いたり、丸めて置いておけば下まで確実に火が回る。

B 図のような網があれば、炎が燃えている時間を利用し、直火で野菜などをあぶって焼く。

C 10~20分で木炭に火がおこり、炎の勢いが収まったら、

D グリルの底全体に木炭をばらけ、熾き火にする。

E バーベキュー用の網を置いて肉を並べ、グリルのフタをかぶせて焼く。

 ステーキを直火焼きするなら、グリルのフタをかぶせずに焼いてください。全ての肉を焼きあげたら、グリルの底とフタの空気穴を閉じて火を消します。消火の確認は抜かりなく…。消し炭は次回のバーベキューに使いましょう。


スペアリブ(豚バラ肉)BBQ


e-レシピ アメリカで本格バーベキュー用の肉といえば…これっ!!

オーブンでスペアリブ(豚ばら肉)を焼いてみましょう

 前回、スペアリブ(豚のばら肉)のお料理のとき買って来たお肉に、オーブンでバーベキュー風に焼くレシピが付いていたので、ついつい脇道にそれて、今回は、アメリカ人が大好きなスペアリブのバーベキューにチャレンジしました。時間は少し要りますが、難しそうで実は簡単です。お肉はスペアリブの代わりにベビーバックリブを使いました。スペアリブより少々割高ですが、柔らかくておいしそうです。全文を読む (2009年2月)

やや本格的な焼き方の例

 アメリカの田舎には、バーベキューに手間隙惜しまず打ち込む男性が大勢います。「強火で肉をあぶってバーベキューソースを付けたら手軽に出来上がり」ではなく、「野菜や香辛料で下味を付け、比較的低い温度でじっくり窯焼きするのが本格派。

 競技会などでは摂氏100度(212℉)前後でひと晩がかりで焼いたりしますが、右の動画ではスペアリブをアルミホイルにくるみ、350℉(180℃)で2時間焼いています。

 私が焼く温度はその都度のチャコールの量次第で、極めて大雑把です。時々フタを開けて肉の様子を観察し、最後に串を刺して肉が中までしっかり焼けたようなら出来上がりという具合ですが、いつも20分か30分で焼き上がるので結果的に350℉(180℃)より高いことが多いのだと思います。肉をチャコールの火の上に置いておくと、焦げてカリカリになってしまいますから、必ず直火を避けて焼いてください。


手作りバーボンBBQソース


 スーパーで、「ジャック・ダニエル」のバーベキューソースをごらんになったことはありませんか?「ジャック・ダニエル」は厳密にいうとテネシー・ウィスキーですが、市販のバーベキューソースの多くはバーボン・ウィスキーをベースにしています。

 右の動画のレシピは、

@ 中火のフライパンに油を敷き、タマネギ、セロリ、チリペッパー、グリーンペッパーを10分いためた後、お湯やウースターソースとホットペッパーソースを加える。

A こし器でこして深いナベに移し替え、煮立ったら、黒コショウとパセリを加えて小麦粉でとろみをつけ、さらにケチャップとバーボンを加えて10分煮る。

B シロップを加えて出来上がり。

 ほかに、ガーリック(ニンニク)やリンゴ酢、黒砂糖、リキッドスモーク(燻製液)などを使うオプションもあります。塩味は、お好みで加減してください。

 北米各地のお国自慢バーベキューのレシピはこちら。


鶏肉用BBQソース


 家でバーベキューするときは、肉が何でも市販のバーベキューソースをつけて焼けばよいのですが、鶏は皮があって調味料が浸みこみにくく、バーベキューソース向きではありません。スーパーで売られている味付け済みの鶏肉は、たいていは、コショーと塩で下味をつけ、さらにパプリカパウダーをたっぷりかけたものですね。家でバーベキューをするときも同じ味付けでよいのですが、わが家ではほかに2種類の味付けをすることがあります。

 ちなみに、わが家で使用する鶏肉の部位は、ふくらはぎ(Drumstick)。アメリカの鶏の場合、太もも(Thigh)付きのもも肉(Leg)は大きすぎ、少量多種の肉を焼きたい日本人の皆さんにはお勧めできません。


===== チミチュリソース味 =====


ドラムスティック(鶏ふくらはぎ)4〜5

刻みパセリ(みじん切り)   大さじ1

刻みニンニク          大さじ1

オリーブ油(サラダ油)    1/4 カップ

白ワイン酢           大さじ1

オレガノ                 大さじ1

塩・コショウ                     適量

 チミチュリ(chimichurri)はアルゼンチン発祥で、南米スペイン語圏で広く用いられる万能調味料です。パセリニンニクのみじん切りをオリーブと白ワインで和え、さらに唐辛子オレガノコショウなどの香辛料を加えたソース。 国や地域、家庭により好みにバリエーションがありますが、わが家では手元にあったオリーブ油に少し癖があるので、サラダ油で薄めてみました。

@ バットに、刻みパセリ大さじ1杯、刻みニンニク大さじ1杯、オリーブ油(サラダ油)1/4カップ、オレガノ大さじ1杯、白ワイン酢大さじ1杯を入れ、よくかき混ぜる。

A 味がよくしみこむよう、鶏肉にフォークや包丁の先で穴をあけ、塩、コショウをしっかりとすりこむ。

B バットにいれた調味料に鶏肉を漬け、スプーンでソースをかけよくなじませる。 少なくとも1時間は漬け込む。  


===== タンドーリチキン味 =====


ドラムスティック(鶏ふくらはぎ) 4〜5本

プレーンヨーグルト           大さじ4杯

カレー粉                      大さじ1杯

ケチャップ                     大さじ1杯

パプリカ                  小さじ1杯

あればクミン                     少々

刻みニンニク                 大さじ1杯

おろししょうが                大さじ1杯

塩・コショウ                          適量

 インド料理でおなじみのタンドーリ風のドラムスティックもお勧めです。レストランで食べるタンドーリチキンのように鮮やかな朱色に仕上げるには、さらに食紅で色付けしなければなりませんが、味は本格的ですからご安心ください。

@ ジップロックやポリ袋にプレーンヨーグルト大さじ4杯を入れる。

A カレー粉大さじ1杯、ケチャップ大さじ1杯、パプリカ小さじ1杯、(あれば)クミン少々、刻みニンニク大さじ1杯、おろししょうが大さじ1杯を加え、手で調味料がまざるようよくもむ。

B味がよくしみこむよう、鶏肉にフォークや包丁の先で穴をあけ、塩、コショウをしっかりとすりこむ。

C ジップロックやポリ袋に鶏肉をいれ、調味料がなじむように手でしっかりもみこむ。

D 前日から漬け込み冷蔵庫にいれておけば理想的だが、少なくとも1時間は冷蔵庫で漬け込む。