バーベキューにルールはありません。プロパン・ガスの専用グリルが楽ですが、わが家では雰囲気にこだわってチャコール(charcoal=豆炭)を使って焼いています。焼き始めてから困らないように、最初に小道具がそろっているか確認しておきましょう。 チャコールは簡単に着火しますが、しっかり封をしないで使い残しを取っておくと、しっけてくすぶるようになってしまいます。 子供が食べ盛りの頃は、アメリカ人のゲストを招いて日頃の3食分くらいのお肉をサーブしました。バーベキューのシェフは、普通ご主人です。紙皿や紙コップを使えば奥様は面倒な片付けからも解放されますから、お客様と談笑してのんびりホステス役を務めてください。ゲストは、前もって都合を聞いた上で材料の一部を持っていくか、飲み物やデザートを持っていくと喜ばれます。 「和風」なら牛のトップサーロイン バック・ミュージックに「レゲエ」でも聴けば、お庭はトロピカル・リゾートに早変わり。牛肉、豚肉のステーキ、鶏のもも肉、ハンバーグ、ハムとパイナップル、野菜あれこれ…私たちは何でも焼いて食べられるだけ食べましたが、アメリカ人のゲストにとりわけ好評だったのが日本風の「とうもろこしのしょうゆ焼き」…とうもろこしが火力に負けて干からびないよう、まず刷毛でサラダ油を一塗りして、その上にお醤油を付けて焼くのが我が家の秘伝です。 お肉が安くて当たり前の北米で育った子供たちにはむしろハンバーグの方が好評でしたが、私と家内にとっては、やはり牛のステーキが一番のご馳走です。スーパーに行くと、様々な肉の部位があってお迷いになるかもしれませんが、バーベキュー用には、私は柔らかくてジューシーで味もしっかりしている「トップサーロイン(Top Sirloin)」をお勧めします。 バーベキュー・グリルは、フタをかぶせて肉を蒸し焼きにするのが本来の使い方ですが、特にステーキの場合は、フタなし、強火でミディアムレアに焼き上げるのが一番おいしい食べ方。ソースは、市販のバーベキューソースで結構です。 「洋風」なら豚のスペアリブ アメリカ人が連想する標準的なバーベキューは、豚のスペアリブを蒸し焼きにするバーベキューです。 スペアリブは、牛焼肉ならカルビの相当する部位。豚肉は安い食材で助かりますが、このスペアリブの部位だけは例外的に高価です。あばら骨の周辺の肉ですから、1頭の豚からは2枚しか取れません。 私たちも、オーブン利用ですが、「e-レシピ」の中で、アメリカ式バーベキューに挑戦しました。実際に使った肉は、スペアリブの代わりにベビーバックリブ。スペアリブは胸の方のアバラ肉ですが、ベビーバックリブは背中側の小型のアバラ肉です。われわれ初老の夫婦が二人で食べ切るには、スペアリブは1枚でも大き過ぎます。
バーボンバーベキューソース スーパーで、「ジャック・ダニエル」のバーベキューソースをごらんになったことはありませんか?「ジャック・ダニエル」は実はテネシー・ウィスキーですが、市販のバーベキューソースの多くはバーボン・ウィスキーをベースにしています。 右の動画のレシピは、 @ 中火のフライパンに油を敷き、タマネギ、セロリ、チリペッパー、グリーンペッパーを10分いためた後、お湯やウースターソースとホットペッパーソースを加える。 A こし器でこして深いナベに移し替え、煮立ったら、黒コショウとパセリを加えて小麦粉でとろみをつけ、さらにケチャップとバーボンを加えて10分煮る。 B シロップを加えて出来上がり。 ほかに、ガーリック(ニンニク)やリンゴ酢、黒砂糖、リキッドスモーク(燻製液)などを使うオプションもあります。塩味は、お好みで加減してください。 ご当地バーベキュー…ウェスタンケンタッキー 私たちが住むケンタッキー州では、ヒッコリーやオークの薪で肉をじっくり燻製風に焼き、繊維に沿って裂いた細い肉片に、バーベキュー・ソースをたっぷり滲み込ませて、ハンバーガーのようにパンに挟んで食べます。 本場は、インディアナ州エバンズビルから30分のウェスタンケンタッキーのオーエンズボロ。昔は、付近で羊が多く飼われていたそうで、牛肉よりも、羊肉や豚肉、鶏肉の方に人気があります。国際バーベキュー祭は、毎年5月の第2週。近くを通りかかった方は、有名なムーンライトバーベキュー(Moonlite Berbeque Inn)に立ち寄ってみてください。 バイキング風のスタンドで、好きな肉を好きなだけ取り分けて食べ比べるシステム。いつもにぎわって盛り上がっていますから、一見+一食の価値はあります。ただし、甘くこってりしたソースは全ての肉に共通ですから、肉の食感に微妙な違いがあったところで、なかなかアメリカ人客の熱狂にはついていけません。
ご当地バーベキュー…メンフィス テネシー・バーベキューの中心地メンフィスのバーベキュー・クッキング世界選手権が行われるのも5月です。ここでは、豚のスペアリブが主役。ケンタッキーのように細く裂いてサンドイッチにするレシピもありますが、それには豚の肩肉を使うようです。 メンフィス最高のスペアリブは、ランデブー(Charles Vergo's Rendezvous)でご試食ください。2002年の選手権の豚の丸焼き部門で優勝、リブ部門でも2位を受賞したアーカンソー州のホールホッグ・カフェ(Whole Hog Café)もメンフィスに2軒出店しています。 ご当地バーベキュー…カンザスシティ
バーベキュー競技会の最高峰は、アメリカン・ロイヤル・バーベキュー競技会です。アメリカン・ロイヤルというのは、大リーグのカンザスシティ・ロイヤルズの名前になったほど有名な家畜の見本市。毎年10月にカンザスシティで開かれるのですが、会期中4日間にわたって競われるバーベキューの熱戦には、世界中から約500チームが出場します。 カンザスシティには、バーベキュー・レストランが100軒もあり、正に「世界のバーベキューの首都(World Capital of Barbeque)」。バーベキュー・ソースのトップブランドKCマスターピースもカンザスシティ生まれだからKCです。 ポークも、チキンやターキーも、何でも焼いてしまいますが、カンザスといえば、やはりカンザス牛。ここでは牛のブリスケット(胸肉=Brisket)やリブ(骨付きばら肉)が主役です。著名レストラン10店のホームページで腹いっぱいお召し上がりください…Arthur Bryant's Barbeque、Fiorella's Jack Stack Barbeque、Gates Bar-BQ、BB's Lawnside Bar-B-Que、Danny Edwards Famous Kansas City Barbecue…。 ほかにも、テキサスや南北カロライナなどのバーベキューをご紹介しないと、地元の皆さんに叱られそうですが、しばらく時間をいただいて、またの日にご案内することといたしましょう。 |