|
アメリカの
医療と健康・e-百科
《アメリカの医療システム》
KJBusiness
Consulting, LLC
| 海外赴任、留学、国際結婚…北米、特にアメリカに住む日本人の皆さんに、ゆたかなアメリカ生活を送っていただくためのホームページです。くらしとビジネスのツールや各地のお買物や観光の情報をお届けします。 |
|
|
|
|
医療と健康 目次 |
アメリカの医療システム
主治医とウォークイン・クリニック/日本のお医者さんとアメリカのお医者さん/定期健診と人間ドック
医療保険と薬局
日本人の医療保険/処方薬と薬局/アメリカの医療保険事情
歯科と歯科保険
歯科と矯正歯科、歯科保険
|
内科小児科
日米予防接種の違い/お子様のツベルクリン/野外レジャーと風土病/百日ぜきの流行
産科婦人科
避妊ピルと日米避妊法比較/マモグラム(乳房X線検診)/妊娠中絶
|
その他専門医
カイロプラクティック/鍼灸・漢方薬とサプリメント
美容と健康
北米の花粉症/冬の乾燥肌と保湿法/各地の日照時間と冬季うつ病対策/アメリカの日焼け止め/アメリカ人のメタボ事情
|
 |
アメリカの医療システム
主治医とウォークイン・クリニック/日本のお医者さんとアメリカのお医者さん/定期健診と人間ドック

日本で「病気」になったら、初診で予約なしでも、たいていの「お医者さん」や「病院」が受け付けてくれますが、アメリカでは断られてしまうかもしれません。大げさなものではありませんが、アメリカにはアメリカのルールがありますから、軽く頭に入れておきましょう。渡米後速やかに、主治医を決めて、一家で健康診断を受けておくのが一番です。
アメリカやカナダの医療では、「一次診療(Primary
Care)」を担当する「主治医(Primary Physician)」の役割が日本より重要視されています。「主治医」とは、患者さんのカルテを預かり、定期健診をして、日頃の健康上の悩みに親身に応じてくれるお医者さんです。「主治医」の専門外の医療が必要なときも、「主治医」が「専門科医」を紹介するのが原則です。人々の健康が「1個人-1主治医」方式で管理されていれば@病気の予防もできるA誤診も少ないB社会的にも医療費の無駄遣いが起きにくいという考え方なのでしょう。
「主治医」に選べるのは、家庭医(Family
Practice)、一般医(General Practice)、内科医(Internal
Medicine)、小児科医(Pediatrics)と呼ばれている内科系のお医者さんです。家庭医というのは、大人でも子供でも家族ぐるみで面倒を見てくれる便利なお医者さんです。もっとも、家庭医でも「乳幼児お断り」のこともありますし、一般医、内科医といっても「10歳以上は診療可」のケースもありますから、肩書きだけで判断してはいけません。どこの国でも同じですが、医学全般の学識があり、ある程度は内科以外の相談にも乗ってくれる先生が信頼できます。特に女性の場合には、婦人科の一般健診くらいは(専門の婦人科医に回さず)自らなさる先生がお勧めです。
内科系のお医者さんは、普通、二人か数人で小さなクリニックを開いています。休暇や出張で留守のときに、仲間に代診してもらうためと、オフィスや受付などの事務員を共有してコストを抑えるためなのでしょう。敢えてお医者さんを選ぶ基準をいえば、医療の腕が信頼できることのほかに、なるべく夜中でも電話に出てくれること、なるべく受付にしっかりした事務員がいること、患者さんが多すぎて予約が取りにくくないことなどですが、全ての条件を満たすお医者さんはなかなか見つからないかもしれません。周りの人によく相談して、いい先生を探してください。病院の付属のクリニックなどの大クリニックにもいい先生はいますが、経験の少ない先生に回されないよう自分で指名することが肝心です。
もちろん、救急車で病院の緊急治療室(ER=Emergency
Room)にかつぎこまれるような事態のときは主治医に事前連絡を取る必要はありません。でも、風邪で熱が出たていどの軽い病気のときにも、予約なしでは、なかなか主治医に診てもらえないのがアメリカで不便なところです。このような場合には、受付順で診療してもらえるウォークイン・クリニックという医療機関がありますから、ご利用ください。普通、平日は午後8時頃まで、週末も営業していますから、急病には便利です。最近は、スーパーやドラッグ・ストアーが店内に設けるのがブームになって来ました。中には、主治医も引き受けると宣伝しているウォークイン・クリニックもあります。

日本のお医者さんとアメリカのお医者さんでは、診療方法も違います。そもそも病気には、何をしても快復は早まらないが、ほっておいても時期がくれば治るという軽い病気もあります。少し誇張して言えば、そんなときに気休めのビタミン注射をしてくれるのが日本のお医者さんで、「アスピリンでも飲んで寝てなさい」で済ませてしまうのがアメリカのお医者さんです。ビタミン注射は医学的にはほとんど「無駄」ですが、「病は気から」というように、ビタミン注射を小道具にして話術で治してしまうのが日本の名医です。
そこへ行くと、アメリカのお医者さんはなかなか「無駄な」治療はしてくれません。本当に軽い病気なら、期待通りの治療をしてくれないのに、苦しい思いをしてお医者さんを訪ねるかいはないかもしれません。「ものもらい」で眼科を訪ね20〜30ドル払って1時間待ったあげく「蒸しタオルを目の上に置くだけで治るよ」と言われたケースなどは典型的で分かりやすい例かもしれません。日本の目医者さんなら、患者さんをがっかりさせないように、せめて専用目薬くらいは注してくれますよね。
良きにつけ悪しきにつけ、日本人は概してお医者さん好きなようです。ましてやお子様の病気となれば、軽い発熱でもお医者さんに連れて行きたくなりますが、ご判断に迷う場合には、万有製薬ホームページ/すこやか子育て健康百科/受診緊急度チェックのページを参考になさってはいかがでしょう。医学用語にはラテン語系の単語が多く、英語で正確に意味を理解するのはたいへんです。日本語でかまいませんから、日頃から医療の基礎知識を身につけておけばいざというときに力になります。本格的に勉強なさるなら同じホームページの最新メルクマニュアル医学百科家庭版がお勧めですが、そこまではちょっとという方もみんなの健康百科とすこやか子育て健康百科に目を通しておいてはいかがでしょう。
もう一つ皆さんに注意しておきたいのは、私たち日本人の体質や体格の違いと医療哲学の違いです。胃カメラといえば日本では局部麻酔が普通ですが、アメリカでは全身麻酔を使います。私は麻酔から気持ちよく目覚めるタイプですが、家内は胃カメラから2〜3日は気分の悪い日が続く体質ですから、お医者さんには麻酔の深さを調整するようにくどいくらいに念押ししています。そこまで言わなくても先生は患者さんの体重や性別で麻酔薬の量を調整するのかもしれませんが、みんなが自己主張して成り立っている社会では何でも口に出して言うのが基本です。歯医者さんの例になりますが、はっきり「NO」と言えないばかりに、生えて間もない永久歯を抜かれてしまったお嬢さんがいました。アメリカのお医者さんには「親からもらった身体を大事に…」という思想はないのかもしれません。抜くも抜かないも患者の意志次第ですから、いやならいやと遠慮なく言ってください。
日本人の先生が診てくれる日系クリニックはいいのですが、日本語通訳付きのアメリカの医療機関の場合、診療するのはアメリカのお医者さんですから、通訳さんに任せて安心し切っていてはいけません。プロの通訳なら医者と患者の言葉を一言一句そのまま訳して伝えるのですが、医療に限らずビジネスの現場では、通訳さんが自分の意見を加えて訳し会話を円滑に誘導してしまうことがままあります。YES/NOの場面では気をつけてください。
日本では、労働安全衛生法という法律に基づき企業の海外駐在員も1年に一度は定期健診をしなければならないことになっています。ただ、日本の政令で義務化されている胸部X線検査と心電図検査や聴力検査は、主治医が必要と認めない限りアメリカでは健診対象ではありません。
日本の企業が行う定期健診は、(NHKの番組「プロジェクトX」でも採り上げられたことがありますが)医療後進地域の救済のために1959年に長野県で始まった集団検診事業が発展して、その後1972年に法制化されたものです。したがって検査項目も「集団」の健康レベルを向上させるために、個人差を敢えて無視して一律に制定されました。私も含めて日本人には、毎年他人と同じ検査をしないでいると(何かの病気で)手遅れになるかもしれないとか、逆に毎年他人と同じ検査をしていれば安心という少し行き過ぎた思い込みがあるようです。
「人間ドック」も同じです。定期健診のように法律で定められたものではありませんが、かなりの日系企業現地法人で、人事や総務ご担当の方が、海外駐在員や配偶者も日本の人間ドック並みの検査を毎年受けられるよう苦労して手配なさっています。一時帰国の機会を利用して日本で健診を受けるなら簡単ですが、アメリカの医療機関に「誰彼を問わず一律メニューの健診を毎年やれ」と頼むのは意外に困難です。大企業の中には進出 時から手際よく現地医療機関に頼み込んでいるケースもありますが、それが無理なら最寄りの大都市の日系クリニックを利用するしか方法はないのです。たいへんですね。
ところが、こうした日系企業の手厚い健康管理が、アメリカでは必ずしもよいとは限りません。アメリカの定期健診は主治医の仕事ですが、企業の人間ドックを受けた海外駐在員や配偶者は、わざわざ主治医の定期健診を受けなくなってしまいます。時間もお金も二重にかかることになってしまいますが、主治医が皆さんの健康に関するデータを持っていることは重要です。できれば、人間ドックの結果を主治医に届けてアドバイスを受けましょう。
私も来年は還暦(2008年筆)で、若干ですが高血圧と高コレステロールの傾向があり、半年に一度、健診を受けています。毎回のメニューはわずかに触診や問診と血液や尿の検査だけですから最初のうちは不安でしたが、だんだんアメリカ流の良さも理解できるようになってきました。要するに、自分が受けたい検査項目があれば主治医に相談すればよいのです。胃のレントゲン検査をするくらいなら、あっさり胃カメラで検査をした方がよいと勧められたこともあります(胃のレントゲン検査では発見できない胃ガンもありますし、X線の被爆で胃ガンの発生率が上がるという説もあります)。
そもそも人間ドックの標準メニューは過去10年〜20年の間、ほとんど変わっていないのではありませんか?皆さんも健康上で何か心配事があれば、CTでもMRIでも、最新の医療機器を使って検査してもらうよう主治医に頼んでみてはいかがでしょう。会社の保険や社内規定によって違うかもしれませんが、アメリカ駐在期間中に検査すれば、帰国後に同じ検査をするよりずっと安く済むかもしれませんよ。
「アメリカ生活・e-百科」と「アメリカ各地・e-ガイド」の総合目次(トップ)に戻る
医療と健康・e-百科《アメリカの医療システム》
このページのトップに戻る
|