サラブレッド競馬 ★サラブレッドの系譜 ★三冠レースと20世紀の名馬 ★馬券を買う サラブレッドの系譜17世紀末から18世紀初頭にかけて、中東からイギリスに3頭の牡馬が輸入されました。それから半世紀後に、現代のサラブレッドの始祖となる3頭の種馬が登場します。中でも18戦全勝の記録を残したエクリプスは父系でダーリーアラビアンの5代目ですが、母もゴドルフィンアラビアンの孫に当たるエリートです。
植民地時代のアメリカでは、1655年にニューヨークのロングアイランドで最初の競馬が行われました。主にメリーランドやバージニアで競走馬の生産が始まり、1730年に最初のサラブレッドが輸入されてきました。
独立戦争後、競走馬生産の中心は新たに開拓されたアパラチア山脈西部のケンタッキーやテネシーに移ります。戦後すぐに輸入された2頭のサラブレッドのうち1頭は、ハーネス競走(御者が乗る二輪車を引いて走るレース)用のスタンダードブレッドという馬種の祖になりました。 もう1頭のダイアメッドからは、南北戦争前の競馬界をリードしたサー・アーチーの血統が誕生しました。ボストンは最初のレースを逃したものの、その後5年間に37戦で36勝した名馬。レキシントンは、目を患ってレースから早く引退することになりましたが、兄弟でライバルのルコント(Lecomte)とのサシの勝負で2勝1敗の成績を残しました。 テネシーの競走馬産業は、その後、南北戦争で荒廃してすたれてしまいます。 三冠レースと20世紀の名馬競馬三冠レースは、各国のサラブレッド3歳馬が同期の頂点を競うレースです。日本では、皐月賞、ダービー、菊花賞。元祖イギリスでは、2000ギニーステークス、ダービー、セントレジャーステークスですが、 アメリカの競馬三冠レースは、次の通りです。
1919年以来、これまで栄えある三冠馬は11頭誕生していますが、最近は1970年代の3頭を最後に30年以上も途絶えているところです。スピードへの期待からサラブレッドの脚が一層華奢になる一方で、5週間にケガ抜きで長距離の3戦を制することが難しくなったといわれています。三冠を期待された2006年のダービー優勝馬バルバロも、2週間後のプリークネスで骨折し、あえなく安楽死させられてしまいました。
アメリカ競馬で史上最強馬と衆目が一致するのは、1920年にプリークネスやベルモントを制したマノワー。「Man of War」とは16〜19世紀に活躍したイギリス海軍の帆船型砲艦のことで、名前からして勇ましい名馬ですが、2〜3歳の2年間に21戦して20勝という記録を残し、あっさりレースから引退してしまいました。 2歳馬時代に半馬身で2着になった理由が未だに取りざたされています。まだゲートの仕切りがない時代で、スタートの位置が悪く大きく出遅れてしまいました。この時、マノワーに勝ったウマの名がたまたまアップセットで、この時から格下が格上に勝つと「アップセット(番狂わせ)」というようになったというもっともらしい俗説が生まれたほどです。 ケンタッキー・ダービーには出場していないので、三冠馬ではありません。三冠レースという言葉が世間で頻繁に使われるようになったのは1930年からで、マノワーがダービーに欠場したことに大したわけはないようです。 そして、3歳馬になったマノワーは、プリークネスステークスの勝利を新記録で飾り、ベルモントステークスでも、1歳年上で史上初の三冠を達成したサー・バートンが前年に作ったばかりの記録を3秒縮めて優勝しました。その後も連勝に次ぐ連勝で、当時の3歳馬最高賞金レースにも、ライバルの辞退が続出。ようやく1頭だけ出馬した牝馬とのサシのレースは勝負にならず、100馬身以上の差を付けて世界記録で優勝しました。 3歳の若さで身を引いたのは、強すぎて敵がいなくなってしまったせいでしょう。最後のレースもサシの勝負で、相手は三冠馬のサー・バートン。最初の1ハロン(約200m)で引き離し、後は軽く流して7馬身のリードで勝ち、引退の花道を飾りました。1937年の三冠馬ウォーアドミラルの父親で、ほかにも優秀なサラブレッドの血統を残しています。 馬券を買う美しい競馬場で美しいサラブレッドのレースを見れるだけでも楽しみですが、せっかくの機会ですから、試しに馬券を買ってごらんになりませんか?日本の競馬新聞に比べると掲載データが少なくて物足りないかもしれませんが、競馬場でDaily Racing Formという予想紙を買って研究することもできます。馬券は、1枚が2ドル。 ========= ≪馬券の種類≫ ========= ◆ 単勝式 Win(単勝) 1着に入る馬を予想します。 ◆ 複勝式 Place(2着複勝)・Show(3着複勝) それぞれ2着、3着までに入るウマを1頭予想します。頭数が少ないレースだと販売されない場合もあります。 ◆ 連勝単式 Exacta/Perfecta(連単)・Trifecta(3連単)・Superfecta(4連単) 1着から、それぞれ2、3、4着までに入るウマを正しい順で予想します。4連単では1万倍の配当が出ることもあります。 ◆ 連勝複式 Quinella(連複) 1着と2着に入るウマを順不同で予想する日本式連複はあまり普及していません。 ◆ ボックス買い 連勝複式がなければ、Exacta(連単)をボックス(2枚セット)で買いましょう。3頭に絞ってTrifecta(3連単)を買うなら、ボックスは3X2=6枚セットですが、予想を絞りきれずに4頭で4X3X2=24枚セットの3連単ボックスを買う人も? ◆ 拡大連勝複式 Any2/Duet(拡連複) 3着までに入る2頭を、順不同で予想します。 ◆ 重勝単式 Double(重単)・Triple(三重単)・Quadrella(四重単) 連続するレースの1着を予想します。最初の2レースのDaily Double、最終2レースのLast Double。 ◆ スウィープ方式 Sweep/Pay 6〜8 全レースの1着を予想。当たり馬券がなければ、1レース外した人に残念賞を出して、賞金を翌日に繰り越し。 ========= ≪オッズ≫ ========= オッズとは、予想配当倍率のことですね。非常に分かりにくいので表にしますが、日本のオッズは受取総額の元手に対する倍率ですが、アメリカのオッズは配当(儲け)と元手の比で表されます。
========= ≪配当金額≫ ========= 実際のレースを例にご説明しましょう。
さて本命が2着に粘ったこのレースですが、それでもShow(3着複勝)に$2.60ついています。「こんなにくれるんだ、アメリカの競馬って簡単に儲けられるんじゃん」と思いたいところですが、実はこれ、「$2の馬券に対しての配当」です。ですから、このShowの$2.60を日本風の100円当たりの配当に言い換えると「130円」となります。ですが、ガチガチの本命でも最低$2.10は払わなければならないと決められているので、日本のような「元返し(配当100円)」は起こりません。 右の表も同じレースで売りに出されたその他の馬券の結果。こちらも半分で割ってみましょう。そうするとExacta(連勝単式)は27.3倍。 さらに半分に割って連勝複式に換算すると13.65倍ですから、一見、中穴に見える配当も全然大したことがないのが分かります…以上、競馬に詳しい方の解説でした。 |