アメリカの 「季節と行事」・e-ガイド(印刷ページ

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ハロウィーン

★万聖節前夜 ★トリッカートリーターズ ★ジャコウ・ランタン ★ランタン作り


万聖節前夜


万聖節(ポーランド南部)

 ハロウィーン はアイルランド生まれです。キリスト教の万聖節(All Hallows' Day=諸聖人の日)前夜(eve)に行われることから、ハロウィーン(Halloween=Hallow+evening)と呼ばれるようになったのですが、行事自体はキリスト教に由来するものではありません。

 アイルランドがキリスト教の優等生となったのは5世紀に聖パトリックが修道院を建てて以来です。それまでは10月31日が1年の終りで、大晦日に家族を訪ねてくる死者の霊から、身を守るために仮面をかぶり魔除けの焚き火をしたのが始まりです。

 現代のハロウィーンに、宗教的な意味はありません。11月末のサンクスギビング(感謝祭)からクリスマスや新年まで、冬は家族が暖炉を囲んで絆を強くする季節ですが、その先駆けがハロウィーンです。10月31日の夕方になると(何歳未満と決まりはありませんが)子供たちが様々なコスプレに身を固め、お菓子をもらう目的で近所の家を訪ねて回ります。


トリッカートリーターズ

(Trick-or-Treaters


隣家のハロウィーン

 皆さんもよくご存知でしょうが、この晩の子供たちの挨拶は「トリッカートリート?=Trick or Treat?」…「悪さ(トリック)をされたくなかったら、お菓子を出せ(トリート=もてなせ)」と、大人をおどす決まり文句です。

 しかし、対する大人の返事に決まり文句はありません。黙ってお菓子をあげても一向に差し支えありませんが、大きな声で「か〜わいい(cute)」とか「こわ〜い(scary)」と言ってあげたら喜びます。

 自治体ごとに子供が家を回る時間を決めているところが多いので、前日の新聞を読んだりお隣に聞いたりして間違えないようにしましょう。

 子供たちだけで夕方出歩くのは危険ですから、必ず親が車で付き添って回ります。走らずに、呼び鈴を鳴らしたり玄関のドアをノックして、大声で「トリッカートリート?」としっかり挨拶。お菓子をもらったら、また大きな声で「サンキュー」。礼儀をしつけるのも、重要な子供の教育です。

Trick-or-Treaters

 北米の10月末は寒い所が多いので、薄着でお子様に風邪を引かせないよう気をつけてあげてください。コスチュームの下に下着を着せてあげたり、家から家に移動する間はコートを羽織らせてあげたり、その日の気温により考えましょう。

 迎える方は、玄関にお化けの飾り物を出しておくのが、トリッカートリーターズ歓迎のサイン。いやなら、玄関を消灯して、ひっそりしていればいいのですが、ご近所づきあいですから、なるべく付き合ってあげてください。こちらも、コスプレで迎えてあげたら最高です。

 わが家の近所では、例年6時から7時半頃に子供が押しかけてきます。子供たちにあげるお菓子は、スーパーで山積みになっているハロウィーン用の格安キャンディーで十分…たくさんつかんで帰る子もいますから、見栄を張って日本の高級菓子をあげたりしないでくださいね。

 大人や若者は月末を待たず、仮装パーティーなどを催して楽しみます。私たちが住んでいるケンタッキー州レキシントンには、市が主催する恒例の「真夜中の肝試し」があります。昔々、勇気ある日本人少年が挑戦したことがありましたが、あまりのすごさと怖さに逃げるように帰宅したと伝えられています。


ジャコウ・ランタン

(Jack o' Lantern)


ジャコウ・ランタン

 ハロウィーンの飾り付けには、カボチャのお化け「ジャコウ・ランタン(Jack o' Lantern=ランタン男ジャック)」が付き物です。

 本来は、夜中にランタン(角灯)を持って見回りをする夜警さんのことでした。ハロウィーン発祥の地アイルランドやイギリスでは古くからカブなど根菜類を繰り抜いたランタンが使われていましたが、カボチャ製に改良してハロウィーンに使い出したのはアメリカ人です。

 おとぎ話の中のジャック(ジャコウ・ランタン)は、悪賢いけれど憎めない小悪党です。

 ジャックに死が迫り、悪魔が地獄に連れて行こうと訪ねて来ました。そこで、ジャックは、作り話を思いついて悪魔をだまします。

 「悪魔さん、それはちょっと待ってください。私は、村人からものを盗んで追いかけられているところです。(悪魔にとっては)けしからん信心深い村人たちを懲らしめるために、銀貨に化けてくれませんか?」

 「私は村人に謝って、弁償に(悪魔が化けた)銀貨を渡しますから、悪魔さんはその後で消えて逃げてください。村人たちは、誰が銀貨を盗んだのかお互いを疑って、きっと大喧嘩が起きるでしょう」…悪魔は、ジャックの作り話に二つ返事で乗ってしまいました。

 悪魔が銀貨に化けてジャックのお財布に飛び込むと、中には十字架が入っていました。すかさずジャックが、お財布の口を閉めると、悪魔は魔力を失って閉じ込められてしまいます。困った悪魔は、ジャックに二度と地獄に連れて行かない約束をして、解放してもらいました。

 しかし、そのジャックにも、とうとう本当に死ぬときがやってきます。ジャックには、もちろん天国に行けるような資格はありません。地獄にも行けず、暗闇の中でさまようジャックが悪魔に相談すると、悪魔は冷ややかに「永遠に消えることのない地獄の炎」の燃えさしを放り投げてよこしました。ジャックは、大好物のカブを彫ってランタンを作り、安らぎの地を求めていつまでも地上をさまよっているのだそうです。


ランタン作り


 今より25年前、私たち夫婦も若く子供たちがまだカナダの幼稚園に通っていた頃は、毎年、一家で本物のかぼちゃをくり抜いて特大の「ジャコウ・ランタン)」を作っていたものです。

 ランタン作りの動画を探していたら、岐阜県羽島市で日本の子供たち向けに英語教材を作っているケニー・キングさんの愛情こもる楽しい動画を発見しました(動画のページ)。