アメリカの 「季節と行事」・e-ガイド(印刷ページ

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冬支度(住まい)

★水道管の破裂 ★エアコン管理 ★すきま風対策 ★加湿器 ★ガレージドアの事故 ★停電対策


水道管の破裂


 冬に家を空ける場合には、短時間でも暖房を切らないことが鉄則です。一時帰国などで長く留守する場合でも、低めの温度設定で暖房を保っておかないと屋内の水道管が凍結して破裂するおそれがあります。

 冬に限らず長く留守する場合には、(一般的に賃貸契約書に書かれているように)事前に大家さんに連絡し、その上で水道の元栓の処置について相談しましょう。元栓を閉めておくと水漏れ事故のおそれはほぼなくなりますが、水圧がかからないと蛇口やトイレのタンクが傷みやすいので、止栓の依頼をためらう大家さんもいます。率直に相談して、意向を確認しましょう。

 元栓を閉めておいても、冬に停電で暖房が切れた状態が続くと、水道管は破裂してしまいます。大家さんが皆さんの留守を知っていれば、お宅に駆けつけて、凍結をふせぐために各所の蛇口から少量の水が流れ続けるように調整してくれるでしょう。

 気温が0℃以下になるまでに庭のホースを水道栓から取り外しておく…最低でも、これだけは忘れずに実行してください屋内の水が、庭のホースの残留水と一緒に凍りついて膨張し、風船が膨らみすぎて割れるように屋内配管に亀裂が入るのでしょう。凍っている間はよいのですが、運良く冬を乗り切っても、春先少し温かくなった頃に融けて水が流れるようになると、亀裂から噴き出すのです。屋外の散水用蛇口と二重になりますが、もし屋内にも止水栓がついていたら、これも閉じておく必要があります。

 水道管の破裂を放置したら、家中が大洪水です。皆さんは、水道の元栓(⇒詳しい記事)がどこにあるかご存じですね?要チェックですよ。


エアコン管理

(⇒詳しい記事)


エアフィルター

 エア・フィルターにほこりがたまると空気の流れが悪くなります。絶えず暖房が動いている冬は頻繁に取り替えないと、ガス代や電気代を余計に払う破目になります。エアフィルターには空気清浄効果もありますから、アレルギー症の方がおられるご家庭では、ホームセンターでアレルギー抑制効果のある高価なものを選んではいかがでしょう。ご購入前に、しっかりサイズを確認してから出かけないと二度手間になります。

 しかし、エアフィルターの主たる目的は空調機器を保護することです。できれば月に1回、少なくとも3ヶ月に1回取り換えることだけは心がけましょう。ほっておくと暖房機の制御装置にホコリが付着して思いがけない故障の原因になります。皆さんの怠慢が原因で空調システムが壊れたら、大家さんに修理代を請求されても争えません。

 フィルターは「向き」に注意して換えましょう。フィルターのふちには矢印が印刷されてますから、古いフィルターの矢印と方向を合わせて入れればいいはずですが、前の住人が間違っていたらたいへんです。

 フィルターを差し込む場所も、フィルターのサイズや形状も、家によって違いますが、「向き」については原則があります。そもそも、フィルターを差し込む場所は、空調システムの吸気側にあるはずです。したがって、空気はフィルターの方から空調システムに向かって流れます。


すきま風対策

(⇒詳しい記事)


 リビングに暖炉がある家なら、暖炉のチェックが最優先課題です。次に、玄関ドアと裏庭に通じるドア、ガレージに通じるドアが重要。窓も、もちろん要チェックです。

 ほかにチェックしておきたい場所は、乾燥機のパイプ孔、電話やケーブルの引込み孔、屋根裏に上がる際に使う天井の穴…見逃しやすいので、お気をつけください。

家電製品の梱包材(緩衝シート)

 すきま風は寒い日なら手をかざしてみるだけでチェックできますが、しっかり確認するなら、右の写真のように線香の煙の流れを見てください。

 簡単に済ませるなら、ありあわせの家電製品梱包用の気泡緩衝シート(プチプチより気泡の小さいクッション)を細く切ってすきまに埋め込むだけでも効果があります。英語のサイトに、すきま風防止で光熱費が20%安くなると書いてありましたが、正に省エネの好事例で、夏の冷房費も当然安くなります。


加湿器 (⇒詳しい記事)

 セントラル・ヒーティングで、北米の冬は屋内がひどく乾燥します。空調システムに流水式の加湿装置を設置すると、湿度を10%程度上げることはできますが、それだけでは快適な湿度までは達しません。

 不足の湿気は小型の個室加湿器で補いましょう。小型加湿器の加湿手法には4種類あります。日本の加湿器に比べて価格が安いのだけは歓迎ですが、性能には一長一短があって、どのタイプにも満点はあげられません。

1. 日本に多い超音波タイプ。静かで良いのですが、アメリカの広い部屋には行き届かず、周囲の床だけ湿らせるような機器もあるので、なるべく高い場所に置いたり、温風が吹き出す床の換気口の付近に設置するなどの工夫が必要です。

2. 羽根で水を攪拌、振動させて、蒸気にするタイプ…最近は見かけなくなりました。効果は◎。でも、少しうるさい、壊れやすい、カビが付きやすく掃除がたいへんで、直接蒸気にあたると冷たい感じがすることがあります。

3. 水を満たした中に紙のフィルターを浸し、扇風機で湿気を送る。効果は◎で音も静かだが、フィルターは頻繁に換えないとカビが生えて健康被害が懸念される。フィルター代で、結果的に維持費も高くつく。

4. 塩を少し入れて電解させた水を加熱して蒸気にする。効果は◎で比較的手軽。ただし、一晩中、湯沸し音が続くので、気にする方にはお勧めできません。


ガレージドアの事故 (⇒詳しい記事)

金属疲労と寒さで巨大ねじりバネが破断

 ガレージドアの故障といえば、たいていセンサー系かモーター系で簡単に直るケースがほとんどですが、冬の寒い朝に起きやすい極めて危険な故障がありますから気をつけてください。

 普通の故障の場合にはドアが閉まらなくなりますが、この故障の際はドアが開かなくなるのが特徴です。故障の原因を確かめずにドアを力まかせに引き上げると、左右のレールが折れ曲がって重いドアが頭上に落下してくるおそれがあります。ガレージに駐車中の車があれば一瞬でポンコツ、人身事故なら、おどすわけではありませんが、命に関わるほど危険です。

 ガレージの入口上部をごらんください。滑車でワイヤを引き上げる長い心棒に、黒っぽい円筒形の物体が巻きついていますが、いったい何でしょう?手動モードなら片手で動かせるからガレージドアは軽いと思うのも無理ありませんが、実は大間違い。円筒形の物体は、本当はとてつもなく重たいガレージドアを、弱い力でも開閉することができるように取り付けられた「巨大ねじりバネ」なのです。

 バネは、長い年月の間に金属疲労を起こし破断することがあります。破断が起きるのは、多くの場合、(ドアの加重がバネにフルにかかる)閉まる直前の瞬間です。「ドーンッ」と大きな地響きが鳴るはずですが、すぐに振り返っても、ドアは無事に閉まっているように見えますから気が付きません。


停電対策 (⇒詳しい記事)

 寒い時期に長時間の停電があるとたいへんなことになります。ケンタッキー州のレキシントンでは、20年に3回も、フリージングレインによる倒木の断線事故で大停電が起きました。そのうち一度は、気温が摂氏マイナス5度の環境下、私たちの家も3日間停電して苦労したのです。

 滅多にないことですから、わざわざ石油ストーブと灯油を用意するのは取り越し苦労でしょうが、心構えは必要です。ガス暖房の家でも、電気が止まれば普通は暖房もお湯も止まってしまいます。

 結論からいうと、暖房が止まったらホテルなどに逃げ出すのが一番です。市内の宿泊施設には予約が殺到しますから、大停電になると判断したら直ちに決断しなければなりません。ただ、水道が凍結しないよう常に微量の水が流れるように栓を開けておいてから避難してください。

 石油ストーブはすぐ売り切れ、灯油も不足し、慣れない利用者が一酸化炭素中毒で救急車に運ばれたりします。暖炉は頼りになりますから、日頃利用することのない皆さんも使い方だけは調べておきましょう。薪やプロパンの入手も競争になります。

 都市ガスの暖炉を使う場合には、マッチやライターなどを常備の上で、ガス栓を開けるハンドルの場所を知らないことには、火をつけられません。暖炉の上には煙突がありますが、普段は煙突のふたが閉まっています。誤った使い方で、くれぐれも事故を重ねないでください。

 灯りも懐中電灯とろうそくが頼りで、布団にくるまって寒さをしのぐ越冬生活です。当然、携帯電話は充電できません。たいていの電話は使えなくなりますが、わが家には電池式の電話が1台あるので非常時には役立ちます。