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汽車の旅 

★ぜいたくな汽車の旅 ★お手軽な汽車の旅


この記事は、現在編集中です。

 南北戦争が終わってから4年後の1869年5月10日、ユタ州ソルトレーク湖に近いロッキー山脈の峠で東西の線路が「金の犬くぎ(Golden Spike)」で固く結合されました。大陸横断鉄道の完成です。汽車が馬車や内陸水運を凌駕して、貨物ばかりか、旅客輸送の9割を独占する「鉄道黄金時代」がここに始まりました。

 それから60年、1930年頃から自動車の普及で旅客の鉄道依存度は徐々に下がり始めていたのですが、退潮を決定付けたのは1950〜60年代のインターステート・ハイウェーの建設と旅客機の発達でした。旅客部門は民間企業が継続できないところまで追い込まれ、1971年に政府が「アムトラック(Amtrack)」を設立して全米を一元化、貨物専業となった各社の路線を借りて運営することになりました。カナダ政府の「VIAレール」も同じです。

全米の高速鉄道建設計画案 (⇒拡大)

 日本やヨーロッパのように、高速鉄道を敷設しようという動きが全くないわけではありません。異種交通機関の連携によって陸上輸送の効率化を図ろうという法律が1993年にでき各地から計画が提出されましたが、2001年からニューヨーク経由首都ワシントンとボストンをつなぐ平均時速68マイル(約110`)の「アセラ特急(Acela Express)」が運行しているだけで、なかなか具体化しません。高速道路の制限速度と同じスピードでは、ビジネス出張用には魅力がありませんね。

ストーニー峡を渡る貨物列車

(カナディアン・ロッキー)


ぜいたくな汽車の旅


 ぜいたくな方では、しばらく前まで「アメリカ・オリエント急行」という名前でも知られる「グランドルクス・レール(GrandLuxe Rail)」が代表例です。6泊7日の「いにしえの南部(Antebellum South)」パックをご紹介しましょう。

初日:首都ワシントン発(歓迎ディナー)、

2日目:バージニア州リッチモンド付近で植民地時代の史跡や南北戦争古戦場

3日目:サウスカロライナ州チャールストンでオプショナル・ツアー

4日目:ジョージア州サバンナで名物の開放窓型バスに乗って市内観光

5日目:移動日(車内で催し物)

6日目:ミシシッピー州ジャクソンからヴィックスバーグまたはナッチェスに観光、

7日目:朝食後、ルイジアナ州ニュー・オリンズで解散

 二人用キャビン(客室)は5段階あってお値段は三食付き、「特上」の部屋はベッド兼用の大型ソファがふたつ(ひとり掛けとふたり掛け)に洗面所とお手洗いにシャワー付きでお一人様7千ドル強、「並み」の部屋は上下二段ベッドに変わる大型ソファに洗面所とお手洗い、シャワーは共用で5千ドル弱といった具合です。


お手軽な汽車の旅


コロラド(デュランゴ)の蒸気機関車ツアー

 もっと旅程の短い、車窓からロッキー山脈などのパノラマを楽しむ旅なら数知れません。カナダやメキシコにも絶景がいっぱいあります。汽車の旅専門サイトはたくさんありますが、「Vacations by Rail」というページの品揃えが豊富でした。

 ひょっとすると、皆さんの身近にも意外な日帰りの旅があるかも知れません。調べてみるとテネシー州はノスタルジックな汽車の旅の宝庫…ナッシュビルを起点にのどかに走る「テネシー中部鉄道」、ケンタッキー州境のカンバーランド渓谷を貫く「ケンタッキー&テネシー鉄道」、チャタヌガからアパラチア山系に至る「テネシー渓谷鉄道」、いずれもなかなか本格派です。

 テネシーから見るとアパラチア山脈の裏側に当たるノース・カロライナ州には「グレート・スモーキー・マウンテンズ鉄道」があって機関車トーマスが子供たちを乗せて走っています。ケンタッキー州バーズタウンの「ディナー・トレーン(My Old Kentucky Dinner Train)」は、ほんのちょっと雰囲気を味わう短いツアーですから過剰な期待は禁物です。でも、小さいお子様を喜ばせるにはよろしいでしょう。

 ところで、ノースアメリカ・レールパスカナダ・レールパスをご存知ですか?両方とも有効期間30日でそれぞれアメリカとカナダあるいはカナダだけで列車乗り放題のチケットです。ヨーロッパを旅できるユーレール・パスと同じアイデアですね。日本のJRも、ジャパン・レールパスを発行しているのですが、(永住権を持って海外に長期滞在していない限り)日本人や外人でも長期滞在者には売らないのだそうです。