世界経済の中心ニューヨークがあるニューヨーク州が帝国(エンパイア)の州(ステート)と名乗るように、南部最大の都市アトランタを擁するジョージア州の愛称は「南部のエンパイアステート(Empire State of the South)」です。
正確にいえば、人口ではヒューストンとマイアミに若干及ばないのですが、地図をごらんください…もともと自立心が強いテキサス州や南部外から人々の流入が激しいフロリダ州と違ってジョージア州は生粋のディープサウスです。 地理的には、アパラチア山脈の南端で、大西洋岸の南部州とメキシコ湾岸の南部州の回廊ですが、見方を変えると、アトランタの地は、アッパーサウスの高原地帯と綿花栽培が盛んなディープサウスの平野部との境界に当ります。
アトランタの観光名所ストーンマウンテンは、マグマがゆっくり冷えて固まった一塊の深成岩でできた珍しい地形です。北米大陸とアフリカ大陸が衝突してアパラチア山脈ができた3億〜3億5千万年前…石炭紀にできました。 アトランタの北を流れるチャタフーチー(Chatahoochee)川はインディアンの言葉で「色鮮やかな岩」という意味で、流域では美しい御影石(花崗岩)が産出されます。上流のレーニア湖(Lake Lanier)はアトランタの大切な水がめですが、2007年の夏から暮れには干上がって市民の生活をおびやかしました。背景には、下流のフロリダやアラバマとの水争いが絡んでいるようです。 19世紀初頭のジョージア州は、まだ現在の東半分だけでした。インディアンから土地を買って、白人が初めてアトランタ周辺に入植したのも1822年のこと。アセンズはジョージア大学のキャンパスタウンとして、サバンナやオーガスタに次いで早くから開けました。綿花の紡績工場が立ち並び、一時は「南部のマンチェスター」と呼ばれていたと伝えられています。 アトランタの北東は日本人の皆さんも多数住んでおられる便利で風光も明媚な地域ですが、付近のゲインズビルは「世界のトリの首都(World Capital of Poultry)」と自称するほど養鶏業が盛んな地域です。 |