バーズタウン周辺の町

★エリザベスタウンと金塊 ★リンカーンとホッジェンビル ★レバノンとハム ★キャンベルズビルとダム湖


 バーズタウン周辺の4つの町をご案内しましょう。

========== エリザベスタウンと金塊 ========== 

 ケンタッキーの人は、エリザベスタウンを略してEタウンと呼ぶことの方が多いようです。北にフォートノックス軍用地(Fort Knox Military Reserve)があって、Eタウンの経済の屋台骨を支えています。

Fort Knox

 フォート・ノックスが世界的に有名になったのは1964年に公開された映画 007シリーズ第3弾「ゴールド・フィンガー」…フォート・ックスにある連邦政府の金塊保管庫(U.S. Bullion Depository)を核爆弾で汚染して、一味が保有する金の価格を吊り上げようというゴールド・フィンガーの企みに対して、ボンドが戦い、タイマーに後7秒=007と表示されたところで時限装置を止めるというあらすじ。その金塊保管庫(写真右)は実在するのです。

パットン将軍と北アフリカ戦線で炎上するドイツのタイガー戦車

 1941年のピーク時には2万トン、現在でも約5千トンの金塊を保管しているとのこと。450立方米の御影石、3200立方米のコンクリートと750トンの鉄筋や670トンの鉄骨を使って1936年に建てられたもので、当然警戒は厳重。残念ながら好奇心旺盛な観光客を受け入れるようなお気軽な場所ではなさそうです。31W=Dixie Highwayを運転しながら車窓から眺め我慢してください。

 でも、フォート・ノックスには見学できる施設もあります。 パットン戦車博物館(正確にはパットン将軍博物館=General George Patton Museum)…第2次大戦の北アフリカ戦線で、砂漠の狐と恐れられたロンメル将軍を相手に戦ったパットン将軍を記念する博物館で、米軍や連合軍ばかりでなく、ドイツや旧ソ連の戦車まで展示されています。

========== リンカーンとホッジェンビル ========== 

国立歴史公園

 人口3千人の田舎町ホッジェンビルに、高速道路のI-65から片側2車線の立派な道路が1直線に延びているのには驚きます。リンカーンは偉大な大統領を超えてアメリカ人の神様…とすればリンカーン・パークウェイは差し詰め神社の参道です。

 リンカーンが生まれた丸木小屋はギリシャ神殿風の建物の中に鎮座ましましています。神殿の柱は第16代大統領を表す16本、階段は亡くなった年齢を表す56段です。駐車場にはテキサスやカリフォルニアナど遠隔地ナンバーの車がいっぱい。「参拝者」には生きている間に一度と思いつめて来たようなご老齢のカップルが多く、丸木小屋を目にして涙を流している人が例外ではありません。

リンカーン生誕の丸木小屋

幼年期の丸木小屋

 北東にほんの5マイル(8km)も行くか行かないかの近所に、リンカーンが7歳まで幼年期を過ごしたという別の丸木小屋があります。大差はなさそうですが、わざわざ遠くから見えた方は、せっかくですから二つ比べてみてください。2009年はリンカーンの生誕200周年でしたが、リンカーンは、その後、インディアナ州で弁護士になり、イリノイ州で政治家になったので、生まれ故郷のケンタッキー州と三つ巴の本家争いが起きてたいへんでした。

 さらに7〜8マイル(10km強)ほど北東に行くと、ニューヘヴンという町にケンタッキー鉄道博物館(Kentucky Railway Museum)があります。ディーゼル機関車6台と蒸気機関車4台があって、夏から秋にかけて、週末には蒸気機関車に乗せてもらうことができます。このあたりの周辺は、かなり辺鄙なところですよ。 

========== レバノンとハム ========== 

 レバノンの人口は約5千人。少なくともひとりは日系企業に勤めているような家庭が多いので、街を歩いていても、知らない人に親しみを込めて会釈されるかもしれません。毎年3月末頃にはジャパニーズ・カルチャー・デイ(Japanese Culture Day)のイベントがあります。中身も、最近は、民謡や太鼓と踊り、柔剣道や空手の演技、着物の試着会、活け花などから福笑いや折り紙まで、かなり充実してきているようです。

 秋の目玉イベントは9月最終週末のマリオン・カウンティー・ハム・デイ(Marion County Ham Day)です。ハムなら、普通、バージニア・ハムとかカナディアン・メープルハムが有名ですが、レバノンでハムといえば「カントリーハム」という激塩辛のハム…ケンタッキーに赴任してまだ1週間も経たない頃、私がバーズタウンのレストランでハムを注文ししたところ、先輩駐在員の皆さんが全員で必死で止めようとしたほどの塩辛さ。

 米国カントリーハム協会(National Coutry Ham Association)のホームページを調べてみると、どうやらケンタッキーの中部、西部からテネシー西部にかけての一帯とノースカロライナが本場。ケンタッキーのスーパーには、スライスする前の肉のかたまりのまま売られていますが、これを調理するなら、まず2日間、水を時々入れ替えて、塩抜きしなければならないのだそうです(それでも塩辛いので、なるべく薄切りが無難)。

ハムといえば豚の後足のもも

 ハム・デイの土曜と日曜の朝食には、数千人の来場者に6千ポンド(約2700kg)のカントリーハムが調理されます。ダービーの前座イベントで有名なルイビルのペガサス・パレードをもじったピッガサス・パレード(PIGasus Parade)、スピードよりも企画優先のポーキーピッグ競争(Porkey Pig Run)などハムの材料=豚さんにちなんだ出し物をはじめ、車やトラック、オートバイのショー、フリー・マーケット(蚤の市)、遊園地の乗り物などに、近隣のカウンティーのバンドまで加わって、なかなか盛大な秋祭りです。

 レバノンは、アルコール販売が許可されているウェット・カウンティーだから、お祭り騒ぎも盛り上がるのでしょう。バプティスト(プロテスタントの福音派)が多いケンタッキーの州内で、ルイビルからバーズタウンやレバノンにかけては珍しくカトリックの信者が多い地域です。東と西、南を取り囲むドライ・カウンティーの町からも、人々がいっぱい押し寄せるようです。 

========== キャンベルズビルとダム湖 ==========

 キャンベルズビルの人口は約1万人、バーズタウンと変わらない規模の町です。日本食材など特殊なものを除けば日常の買物にさほど不自由はありませんが、ルイビル、レキシントン、ボーリング・グリーン、どの方角でも都会には車で1時間半というのがつらいところです。

グリーンリバーの流域(⇒クリックで拡大

 キャンベルズの南にはグリーンリバーをせき止めてできたダム湖(Green River Lake State Park)があり、釣りや舟遊びでにぎわっています。グリーンリバーの流れは初期の開拓民がたどったインディアナ南西部への道でした。地図を見ると、マンモスケーブ国立公園の鍾乳洞はグリーンリバーの伏流水に侵食されてできたのがお分かりになるでしょう。