ルイビルの観光とお遊び

★ダウンタウン ★ルイビルの史跡と自然


スポーツで最もエキサイティングな2分間

 ルイビルといえば、ケンタッキー・ダービーを思い浮かべる方が多いことでしょう。ダービーは、毎年5月の第1土曜日にチャーチルダウンズ競馬場で行われます。アメフトのスーパー・ボールや野球のワールド・シリーズ、ゴルフのマスターズなど、スポーツごとに世界でも最高峰の大会はありますが、ダービーは、ハリウッドのスターやアラブの王様、時にはイギリスの皇室が観戦し、前の晩からパーティーを開いてお祭り騒ぎをする特別なイベントです。

 ご婦人にとっては、つば広で花飾りがついたダービー・ハットをかぶって入場するのが半ば義務のようなもの。切符を手に入れるだけでもたいへんですが、もし必要になったら例えばカスタムメードの帽子屋さんダイアナ妃帽(Lady Diane Hats)のHPでお選びください。

================== ≪ダウンタウン≫ ==================

上空から見たウォーターフロントパーク

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 懸案だった外環状高速 I-265が開通する(⇒オハイオ川架橋プロジェクトHP)と、市内東部と南インディアナの一体化が進みルイビルの発展が加速することでしょうが、それと並行して、ダウンタウン付近では3つの大開発プロジェクトが計画されました。まずは、ダービーの前祝いのお祭りサンダー・オーバー・ルイビルの主会場ウォーターフロント公園(Waterfront Park)の大拡張…蒸気船ベル・オブ・ルイビルの発着所は、パークの西端にあります。2013年には、鉄道橋としての役目を終えたビッグ4ブリッジが歩行者橋としてよみがえる予定です。

新しいルイビルの夜のスカイライン (⇒クリックで拡大)

 第2がルイビル大学バスケットボール・チームの新しいホーム・コートとなるウォーターフロント・アリーナ。これは既に完成して、ケンタッキー・フライドチキンやタコベル・チェーンを支配する地元大企業のスポンサーシップによりKFCヤム!センターと名づけられました。

 最後に、第3のプロジェクトで、少し雲行きが怪しくなっているのが地上61階の本格的な超高層ビルミュージアム・プラザ(Museum Plaza)の建設。全米あらゆる都市に共通ですが、リーマンショック前のバブル時代に計画した摩天楼プロジェクトが、破綻に至らないまでも軒並み大幅に遅延しています。

Louisville Slugger

 オハイオ川越しで見るルイビルは今でも美しいスカイラインですが、新摩天楼が完成すると眺めは劇的に変わります。名前から想像される通り、キーテナントには現代美術センターなどミュージアムが入居の予定。六本木ヒルズのように、オフィスと住居(コンドミニアム)とショッピング街が一体の独立した都市空間を作るつもりのようです。

 ルイビルのダウンタウンで、日本人観光客に特に人気があるのが野球バット・メーカーのルイビル・スラッガー博物館(Louisville Slugger Museum)…ビルの脇には、高さが6階建て相当、重さは31トンで世界最大のバットが立てかけられています。ここでバットの製造工程を見たら、次はお隣のルイビル・グラス工房(Louisville Grassworks)で、ガラス細工の実演をごらんください。

 そのブロックとメイン通/8番街の交差点をはさんで斜め向かいに巨大スクリーン IMAXシアターもあるルイビル・サイエンスセンター(Louisville Science Center)、その北がミュージアム・プラザの建設現場、さらにその東がルイビル出身のボクシングの英雄モハメド・アリ・センター(Muhammad Ali Center)。位置関係は、観光協会のダウンタウン案内図をご参照ください。

================== ≪ルイビルの史跡と自然≫ ==================

オールド・ルイビルの市街

 さて、次に、自然を楽しむならチェロキー公園はじめベアグラス・クリーク(Beargrass Creek State Nature Preserve)のほとりや南部郊外のジェファーソン戦没者追悼森林公園(Jefferson Memorial Forest)などなど。史跡観光を楽しむなら、まず19世紀後半の英国ビクトリア朝風の建物が残るオールドルイビル(Old Louisville)の一角、19世紀初頭にできた大麻農園=ファーミントン・プランテーション(Farmington Plantation)、後年の発明家エジソンが19歳で、1866年にルイビルで無線技士の職を得て住んだトーマス・エジソンの家(Thomas Edison House)、19世紀半ばに建てられた古代イタリア風豪邸のホワイト・ホール(White Hall)といった具合でいっぱいあります。

ルイビル&ポートランド運河全景 (⇒拡大)

古地図リンク 1796 1824 1833 1855

 しかし、どんな自然や史跡より私にとって興味深いのは、オハイオ川の自然の要害フォールズ・オブ・オハイオ(Falls of the Ohio)と1830年に完成したルイビル&ポートランド運河(Louisville & Portland Canal)です。

石炭を積んだはしけ(⇒拡大)

 フォールズ・オブ・オハイオは約4億年前に生成された石灰岩の固い層が徐々に侵食されてできた一群の滝と浅瀬です。8〜10月のオハイオ川の水量が少ない季節にインディアナ州側の公園フォールズ・オブ・オハイオ州立公園(Falls of Ohio State Park)を訪れると、デボン紀のさんご礁の化石が地表に広く露出しているのを見ることができるのだそうです。白人がこの地に入植する以前には、野牛やインディアンにとって便利な渡河地点でした。

 ところが、逆の立場から見れば、フォールズ・オブ・オハイオはミシシッピー川で唯一の要害だったのです。ルイビルは、運河ができるまでは、上流と下流から運ばれる船の貨物を積み換える内陸水運の中継地として発展し、その後も鉄道で南北を結ぶ陸上輸送の要地として栄えてきました。国際貨物輸送のUPSがルイビルに本拠を設けたのも、歴史の必然だったのでしょう。

 ルイビル&ポートランド運河は、ルイビル市民に電力を供給するマッカルピン水門(McAlpine Lock & Dam)の一部となって、今も活躍しています。右の古地図(A Cartographic History of Falls Cities Areaなどにリンク)で、建設の前後を比較してごらんください。ミュージアム・プラザができたら、ルイビルの歴史を足元に一望できるようになるわけです。