デトロイト観光・e-ガイド (印刷ページ)

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ダウンタウンとリバーフロント

★グランドサーカス公園 ★キャンパスマーシャス公園 ★国境のトンネルと橋

★デトロイト国際リバーフロントウィンザー・リバーフロント


Campus Martius Park

Grand Circus Park

 1805年の6月11日ににデトロイトで大火がありました。それから19日後に、ミシガンはインディアナ準州から分離、デトロイトは新準州の州都になります。人口がわずか1〜2千人の時代ですから大火といえるかどうか微妙ですが、川べりの倉庫1棟を除き全ての建物が燃えてしまいました。

=== ≪グランドサーカス公園≫ ===

 復興計画を担ったのは司法官のウッドワード。ダウンタウンを六角形の辺と対角線で幾何学的に設計しました。デトロイト川に垂直な中心線には、本人の名がついてウッドワードアベニュー。元はインディアン古来のサギノー・トレイルという道で、現代のI-75北方面。

 頂点の円(現在は半円)はグランドサーカス公園(Grand Circus Park)…周りはフォックス劇場(Fox Theater)やオペラハウス(Detroit Opera House)など今は劇場街。この公園を起点としてマイル道標が設けられ、道標ごと東西に「マイル・ロード」が建設されることになりました。

 六角形の中心は、ローマ帝国のカンプスマルティウス広場に名を借りてキャンパス・マーシャス公園。

 現代の建物を、ウッドワードの復興計画の地図に示すと下の図のようになります。区画が崩れた現在の地図で見るより分かりやすいような気がしますが、いかがですか?

 ほかに4本の放射状の街道が計画されました。

 グランドリバーアベニューは現代のI-96方面。ノバイ経由でまっすぐランシングに向かいグランド川沿いにミシガン湖に下る街道です。

 ミシガンアベニューは現代のI-94西方面ですが、当時は、アナーバー経由、シカゴの南を通りミシシッピー川(アイオワ州ダベンポートの対岸)に通じる重要な街道でした。

 ジェファーソンアベニューはセントクレア湖岸を北上する短い街道。グラシャットアベニューは現代のI-94東方面で、ポートヒューロンのグラシャット砦に至る街道でした。

≪キャンパスマーシャス公園≫

 ダウンタウンには、デトロイト・ピープルムーバーという新交通システムがあり、リバーフロントとダウンタウンを1周15分で循環しています。

Detroit People Mover

 グリークタウンGreektown, Detroit)は、モンロー通りの1〜2ブロックに小さな飲食店を凝縮した美味しい町。

Greektown

 カジノと隣り合わせの教会はカトリックの聖マリア教会(Old St. Mary's Roman Cathoric Church )で、ギリシャ正教の教会(Annunciation Greek Orthodox)は少し先。

Wayne County Bldg

 ランドルフ通りに出てウェインカウンティの庁舎に寄ってみましょう。ウェインカウンティは、1796年にミシガン下半島全体を管轄する北西準州の郡として設けられました。

 独立戦争の英雄で「マッド・アンソニー」の愛称もあるウェイン将軍にちなんだ命名で、インディアナ州の都市やデトロイト川の砦(Fort Wayne, Detroit)のフォートウェインも西部劇の名優ジョン・ウェインの芸名も同様です。

 よく見ると、庁舎の屋上や塔、神殿風の屋根の破風には彫刻が散りばめられているでしょう。ローマンゴシック様式の見事な建物(Detroit-Windsor Tunnel)。1897年から5年をかけて建てられました。

 正面にキャディラック・スクエア(Cadillac Square)。2ブロック西のキャンパスマーシャス公園にはミシガン陸海戦士の塔(Michigan Soldiers' and Sailors' Monument)があります。その南はワンデトロイトセンター(One Detroit Center neighbor)。

=== ≪国境のトンネルと橋≫ ===

ライブカメラ

トンネル 米→加 加→米
米→加 加→米

 ランドルフ通りをもう少し下ると、デトロイト川の下をくぐってカナダのウィンザー側に渡るトンネル()があります。アンバサダー橋(Ambassador Bridge)とどちらが便利かというと、トンネルはデトロイトとウィンザーのダウンタウン同士を結んでいるのに対して、橋は高速道路同士を結んでいるところが最大の違い。車で手軽に国境を越えることができますが、パスポートの携帯をお忘れなく。

 国が違えば通貨や税制も違い、合法的に思いがけないメリットを得ることもできます。処方薬を安く手に入れたければ、面倒でもカナダまでお買物に出かけましょう。

 …1994年、先にカジノができたのはウィンザーの方でした。デトロイト市民が、ギャンブル目当てでカナダに殺到するのを見かねてミシガン州も法律を改正、1999〜2000年にかけてデトロイトに3つのカジノホテルが開業しました。

 それでも、カナダ(オンタリオ州)では19歳から飲酒ができるというので、21歳の誕生日を待てないアメリカの少年少女がウィンザーのバーにたむろしているそうです。ウィンザーでは、キューバ産の葉巻やラム酒もお安く手に入ります。

Renaissance Center

=== ≪デトロイト国際リバーフロント≫ ===

 トンネルの隣はGM本社ビルのルネッサンスセンター。中央の円柱状のタワーがマリオット・ホテル。日本政府の在デトロイト総領事館は、南東のタワー400の16階にあります。

 大温室のようなショッピング街ウィンターガーデン(Wintergarden Atrium of Rennaissance Center)を通って、デトロイト国際リバーフロントに出てみましょう。リバーフロントはアンバサダー橋(Ambassador Bridge)〜ベルアイル島(Belle Isle)間5.5マイル(9q)の川沿いの行楽地です。

 実はデトロイトには、1944〜72年にかけてオリンピック開催地に連続7回立候補して敗れ続けた悔しい過去があります。リバーフロントは、久しぶりに開催地に手を上げる野心もあり、デトロイトのランドマークとして整備してきましたが、リーマンショックのせいで、しばらくはオリンピックどころではありません。

Detroit Princess Riverboat

Detroit International Riverfront

James Scott Fountain and Belle Isle Casino

Belle Isle

 リバーフロントのハートプラザ(Hart Plaza)とリバードプラザ(Rivard Plaza)からは遊覧船が出ています。飾り物の灯台(Tri-Centennial Light of Detroit (Copy of Tawas Point Light))や野外コンサートホールのシェーンパーク(Chene Park)。サイクリストには、デクィンデルカット・グリーンウェー(Chene Park)という廃線利用の自転車専用道路。

 ベルアイル島は、島全体が美しい公園です。ウィットコウム温室植物園(Whitcomb Conservatory)やドシン五大湖博物館(Dossin Great Lakes Museum)にお立ち寄りください。

=== ≪ウィンザー・リバーフロント≫ ===

 カナダ側のリバーフロントには、いかにもカナダらしい「いやし」がありますから、デトロイト近郊にお住まいの方は、日帰りの行楽に是非お出かけください。

 デトロイトのスカイラインを背景に川を行き交う貨物船を眺めるベストポイントはディエップ庭園(Dieppe Gardens)。背後には、ウィンザー郷土博物館(1812年に全て建て終わらないうちに米英戦争が始まり両軍の司令部に使われた家)とウィンザー美術館があります。

Hiram Walker & Sons Canadian Club Brand Center

 オデット彫像公園(Dieppe Gardens)は、リバーフロントをキャンバスにした屋外美術館。遊覧船はカナダ側からも出ています。

 デトロイト川をさかのぼると、カナディアンクラブ・ブランドで有名なウィスキー蒸留所があります。美しい建物ですから、アルコールを召し上がらない方もごらんになってはいかがでしょう。蒸留所の近所には、創業者ハイラム・ウォーカーの次男が建てたウィリステッド荘という邸宅もあります。

 ハイラム・ウォーカーはデトロイトのビジネスマンでしたが、わざわざ対岸のウィンザーに渡ってウィスキー蒸留所を作りました。1858年…アメリカでは飲酒癖に対する風当たりが強まり、ミシガンでも、既にアルコール販売が規制されるようになっていました。全米に禁酒法が施行されアル・カポネ一味がカナディアン・ウィスキーの密輸で暗躍するのは、それから70年も後の話です。

Queen Elizabeth II Gardens, Jackson Park

 ちなみに、カナディアン・ウィスキーは、主原料がトウモロコシのアメリカン・ウィスキーと違い、ライ麦と小麦や大麦で作ります。1857年に同じオンタリオ州のウォータールーで創業したシーグラムと並び、カナディアンクラブは、カナディアンウィスキーを代表するブランドになりました。

 リバーフロントではありませんが、ジャクソン公園はトンネルの出口から車でほんの5分。戦没者の慰霊碑や戦闘機もある公園ですが、皆さんにお勧めの見どころはエリザベス2世女王庭園です。

 オジブウェー・プレーリーの方は橋から5分。州立公園など5つの公園に分かれていて、森や湿地や草原が入り混じった環境に暮らす多彩な鳥や動物をウォッチングできますが、初めての方は、オジブウェー・ネーチャセンターOjibway Nature Centreを目指して行きましょう。