ローリー-ダーラムの観光とお遊び

「インサイド・ザ・ベルトライン」 デューク家とダーラム ★タバコ・ロード=大学スポーツの激戦区


 ローリーは、独立戦争が終わって3年後の1788年に州都の地と定められて以来、ノースカロライナの行政の中心として産業都市ダーラムと二人三脚で発展してきました。

================≪インサイド・ザ・ベルトライン≫================

博物館・美術館

North Carolina Museum of Natural Sciences

North Carolina Museum of History

North Carolina Museum of Art

Marbles Kids Museum (IMAX Theater)

野外コンサートホール

Walnut Creek Amphitheater

Koka Booth Amphitheater

公園・植物園

William B. Umstead State Park

Lake Crabtree Park

North Carolina State University  Arboretum

環状線 I-440の内側は「インサイド・ザ・ベルトライン(Inside the Beltline)」の愛称で知られるローリーの旧市域(Old Raleigh)で、ダウンタウンは正にその中心。州政府の施設が建ち並ぶ中に、自然科学博物館と歴史博物館があります。

 州立大学のキャンパスは環状線の西(時計の文字盤9時)のあたりで、付近には州立大学の植物園やフットボール・スタジアム(Carter-Finley Stadium)のほか州立美術館とカロライナ・ハリケーンズ(NHLプロホッケー Carolina Hurricanes)のホームアリーナ=RBCセンターがあります。ハリケーンズは1997年にコネチカット州ハートフォードから移ってきて日も浅いのですが、2005-06年のシーズンには北米の頂点に立つスタンレーカップをローリーに持ち帰り市民を喜ばせました。

================≪デューク家とダーラム≫================

タバコ関連史跡

Duke Homestead

Bennett Place南北戦争

American Tobacco Campus

タバコ関連観光ルート

American Tobacco Trail

New Hope Valley Railway

博物館

North Carolina Museum of Life & Science

The Hayti Heritage Center

デューク大学のワシントン像

チャペル前のバック像

 ダーラムのタバコが全米で評判になるのには、南北戦争が深く関わっていました。現代では紙巻タバコ(シガレット)がタバコの代名詞のようになっていますが、イギリスに(クリミア戦争で一緒に戦ったトルコから)紙巻タバコが伝えられたのが1850年代、19世紀半ばのアメリカではタバコといえば噛みタバコのことだったのです。

 以下アメリカ人GKさんのブログによれば、1865年4月、南軍の敗北は確実になり、ローリーに陣したシャーマン将軍の北軍はベネット夫妻の家で会談を重ね、約10万人の南軍兵に降伏をせまりました。この時、両軍の兵士を夢中にさせたのが、甘口でパイプや紙巻タバコに適したダーラム製の葉タバコだったのです。

 ワシントン・デュークは、1874年に自宅とタバコ畑(Duke Homestead)を売ってダーラムに引越し息子たちとタバコ工場を始めます。1885年に末子のバック(Buck)が自動紙巻機の特許を購入してからビジネスは一挙に拡大しました。ついで1890年には市場シェア40%を占めるまでになりますが、勢いに乗るバックは競争相手を次々に買収してアメリカンタバコ社を設立します。さらに1902年にイギリスのインペリアルタバコ社と協定を結び世界市場を2社で分割するに至りますが、1911年、ついに反トラスト法(独占禁止法)が適用され4社に解体されたのでした。

 このバック・デュークが設立したのが名門私立のデューク大学です。ダウンタウンの工場は再開発により総合娯楽施設「アメリカンタバコ・キャンパス」生まれ変わっています。ダーラムの南にはアメリカンタバコ・トレイルという今は廃線したタバコ搬送の鉄道を利用した遊歩道(サイクリングも可)があり、終点をさらに南に下ると国道1号線沿いにニューホープ・バレー鉄道という短い蒸気機関車のツアーが楽しめる鉄道博物館があります。

 ダーラムでは、タバコのほかに繊維産業も盛んになりました。ハイチから連れてこられた奴隷の子孫が多く、ダウンタウン南部には20世紀初めに「ハイチ(Hayti=発音はヘイティ)地区」、別名「黒人のウォール街(Black Wall Street)」と呼ばれる黒人ビジネス街ができました。公民権運動が盛んだった頃にたびたび座り込みが行われたのもこの地域です。残念ながら高速道路の建設で一部が壊されてしまいましたが、1975年に「ハイチ伝統文化センター」が建てられ残された景観を守っています。

 州立の生活+科学博物館は子供が楽しく科学を学べる博物館です。

================≪タバコ・ロード=大学スポーツの激戦区≫================

 大学スポーツの中でも、特にフットボールと男子バスケットボールについては、全米各地のコミュニティーが日本の高校野球以上に熱くなって応援します。NCAA(全米大学体育協会)は大学を地域ごとのコンファレンスに分けて競わせていますが、その一つACC(大西洋岸コンファレンス=Atlantic Coast Conferance)は強豪揃いの激戦区です。

大学名 チームの愛称 所在地 創立 バスケ優勝
ノースカロライナ大学 ターヒールズ(タールだらけのかかと) チャペルヒル 1789年公立 全米5回
デューク大学 ブルーデビルズ(青い悪魔) ダーラム 1838年私立 全米3回
ノースカロライナ州立大学 ウルフパック(狼の群れ) ローリー 1887年公立 全米2回
ウェイクフォレスト大学 デーモンディーコンズ(悪魔の助祭) ウィンストン-セーラム 1834年私立 全米なし

 その12校のうち3校がこのトライアングル地区にあり、さらにもう1校のウェークフォレストも50年前までローリー北郊にあった大学で、今でも I-40でほんの100qしか離れていないウィンストン-サーレムにあるのですからライバル意識が強くてもう大変です。対戦数が多いバスケットボールともなれば、また格別で、この4校または4校を結ぶ I-40のことを人々はタバコ・ロードと名付けました。きっと熱く燃えているのでしょう。

 ノースカロライナ大のチャペルヒル校は、かのマイケル・ジョーダンの母校です。ターヒールというのは、かかとをタールだらけにした人という意味ですが、植民地時代にタールは森林に恵まれたノースカロライナの特産品として珍重されたことからノースカロライナ人を指す愛称です。デューク大のブルーデビルズは、第一次大戦時にアルプスで活躍したフランスの山岳歩兵隊のニックネームを借りたものです。州立大のウルフパック(Wolfpack)は言葉の通りですが、ウェイクフォレスト大の場合はもとがバプティスト系の大学ですからディーコンズ(Deacons=助祭)という上品な名前をつけたものの、デューク大のデビルに張り合うにはあまりに弱々しく、思い切ってデーモンを後から付け加えたのだそうです。