スモーキーマウンテンズ全景

★クリングマンズドーム ★ニューファウンドギャップと観光ドライブ ★アパラチアン・トレイルとハイキングコース


アパラチア山系

 アパラチア山系は、カナダ北部を除いて北米で最も古い大地です。南端を走るブルーリッジ山脈の一部は4億8千万年前から隆起を始め、旧北米大陸が3億年前に旧アフリカ大陸と衝突した頃には、現代のヒマラヤ以上の高さがあったともいわれています。もっとも、今では最高峰でさえ標高2037m…日本アルプスの山々でも軒並み3000mクラスですから、意外に低いですね。ただし、中央部だけでも、全長はゆうに2500kmを超え幅も150〜500kmの大山塊。日本の本州が3つか4つくらい楽に入りそうです。

=====クリングマンズドーム=====

Clingman's Dome Obsevation Tower

 グレートスモーキーマウンテンズは、ブルーリッジ山脈の一部。アパラチア山脈全体と比べれば豆粒のようですが、実は東京都とほぼ同じ広さです。

 周囲にテネシー川の支流を見下ろす山脈で、北米に白人が伝染病や馬や鉄砲を持ち込んでくるまで、一帯ではチェロキー・インディアンがトウモロコシなどの穀物を栽培して穏やかに暮らしていました。

霧に包まれた展望台駐車場

 正式名は長すぎて、普通はスモーキーマウンテンズとかスモーキーズ、グレートスモーキーズなど略称で呼ばれます。スモーキー(SmokyまたはSmokey)は、濃い霧が煙のように湧き上がってくる様子に由来するそうです。スモーキーズで一番高いクリングマンズ・ドーム(海抜2025m)の山頂展望台も、突如霧に包まれ、四方の景色が全く見えなくなってしまうことがありますが、これもスモーキーズ観光の醍醐味です。

=====ニューファウンド・ギャップ・ロードと観光ドライブ=====

New Found Gap Road (1932年開通)

 クリングマンズ・ドーム山頂には尾根沿いに車で登れます。これも、スモーキーのど真ん中を、北のテネシー州ガトリンバーグと南のノースカロライナ州チェロキーを結ぶ約50kmの道路が貫通しているおかげ。ノンストップで走れば1時間ですが、途中のパーキングで休み休み眺望を楽しみながら登りましょう。6〜8月の観光シーズンには、しばしば渋滞が起きます。

 冬場は雪が降ります。不通になると東のI-40を迂回して250kmか西のUS321を迂回して210kmの長旅になってしまうので、しっかり除雪することになっています。商用道路ではないので、トラックは通行禁止です。

Rockfeller Memorial

 道路の頂点は、1940年にルーズベルト大統領が出席して国立公園の開園式が行われた場所で、スタンダード石油創業者の父から数えてロックフェラー家の二代目で、開園資金の過半を寄贈したジョン・D・ロックフェラー・ジュニアの記念碑が目印です。ここは、1872年の測量でスモーキー一低い峠であることが分かり、ニューファウンド・ギャップ(海抜1539m)と名付けられたのだそうです。

 観光ドライブもニューファウンド・ギャップ・ロードが中心です。ガトリンバーク東のロアリングフォークには一周が10km強の観光道路があり、チェロキー側入口のオコナラフティ観光案内所付近からは、バージニア州のシェナンドーア国立公園に至る全長750kmのブルーリッジ・パークウェーと、山中深く分け入るバルサム山道に通じる道路が出ています。

 スモーキーズ西部のケーズコーブ観光案内所の近くにも周回観光道路があります。東部のカタルーチーバレーの道もお勧めです。中には、舗装されていない道路や一方通行の道路もありますから、上の地図などで事前に勉強しておきましょう。冬は閉鎖されるところも多いでしょう。

=====アパラチアン・トレイルとハイキング(登山)≫=====

 クリングマンズ・ドーム(山)とニューファウンド・ギャップ(峠)を結ぶ稜線は、そのままテネシーとノースカロライナの州境です。この稜線の延長線にアパラチアントレイルというアパラチア山系を縦断する長い長い山道があります。全長は3500km。南はジョージア州アトランタ付近のスプリンガー山に始まり、途中12州を経て14州目のメーン州北部のカタディン山でようやくゴールというとんでもない「お遍路さん」です。

 トレイルが完通したのは1937年。今までに1万1千人が全行程を踏破し、その4分の3が、1シーズンで歩き切ったスルー・ハイカーです。雪が降ってトレイルが閉鎖されるまでは長くても7ヶ月ですから、雨や風で休まないとしても1日平均10マイル(16km)以上歩かなければなりません(それでも、最近は挑戦者の約2割が達成しているという話です)。

Appalachian Trai l(クリックで拡大)

Appalachian Trail to Mt. Bunion

Alum Cave Bluffs Trail

 半年も続けてお休みを取れない人でも、アパラチアン・トレイルの一部を体験することはできます。国立公園ガイドによれば、ニューファウンド・ギャップからクリングマンズ・ドームと逆に東のバニオン山に登るのが片道6〜7kmで手頃な日帰りハイキング・コースとありますが、写真でごらんのように日本語では「ハイキング」というよりれっきとした「登山」コースですから、遭難しないように十分気をつけてください。

 園内のトレイル(登山道)は延べ1300kmにも及ぶそうで一つ一つ採り上げて説明するわけにはいきませんが、アクセスが便利なニューファウンド・ギャップ・ロードの途中から登るチムニートップス(Chimney Tops)へのルートやルコンテ山(Mt. LeConte)に登るアラムケーブ・トレイル(Alum Cave Bluffs Trail)が人気です。

指定したサイズでウインドウを表示