パイニーウッズ地方(テキサス州北東部)

Piney Woods Region


Big Inch/Little Big Inch

Uボート

 東テキサス油田は、枯渇して産出量がめっきり減ってしまったようですが、全盛期には、アメリカの戦時経済を支える欠くことのできない資源だったのです。第二次世界大戦の前には、テキサスの石油は海上ルートで運ばれていましたが、ドイツの潜水艦Uボートがタンカーを攻撃するようになって東部の都市は深刻な石油不足に直面しました。

 そこで、アメリカ政府はテキサス州のロングビューからニュージャージー州リンデンに至る口径24インチのパイプライン「ビッグインチ」を敷設することにします。建設開始は1942年8月、半年でイリノイまで開通し、さらに半年でフィラデルフィアにテキサスの石油が届くようになったのですから、正に歴史的な官民協力事業でした。ボーモントからアーカンソー州のリトルロックに至る支線は「リトルビッグインチ」と呼ばれています。


北部はナラテーダマツなどの混在林

インターステート65計画路線(⇒拡大)

 パイニーウッズは、ルイジアナ州の北西部やアーカンソー州の南部に及ぶ、名前の通り、マツ(パイン)の森林と湖沼が多い地方です。あまり人の手に触れられていない自然も残っていますが、ここをカナダとメキシコを結ぶインターステート69号線=別名NAFTA(北米自由貿易協定)スーパーハイウェーが通る予定です。

 ビッグインチ以来の大プロジェクトですが、産業界の期待をよそに地元の反対派は、なかなか強硬です。今度は、戦争に勝つためではないし、メキシコ嫌いの人々も多いですからね。

Caddo Lake Big Thicket National Park テキサス経由の陸上運送量

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