ウェット vs.
ドライ…酒類販売免許のお話
大晦日は日曜:あなたの町ではお酒が飲める?
年末年始にはお酒が付き物…そこで、トップの記事(寄稿)で飲酒運転についてご注意したついでに、もうひとつアルコールの話題です。
レキシントンやルイビル、ノーザン・ケンタッキーなど都市域に越してきた皆さんは、お酒飲みの方でも「日曜日にアルコールが買えないのは不便だな〜」くらいで納得しておられることでしょうが、田舎に住むと、さあったいへん、レストランでは飲めないし、酒屋さんがないので遠くまでアルコールの買出しに出かけなければならない地域がたくさんあります。
日本に比べると、欧米諸国ではアルコール依存症が社会問題化しており一般的に規制も厳しいのですが、アメリカの場合には特に宗教的な背景もあります。聖書が(直接)飲酒を禁じていなくても、南部や中西部のプロテスタント各派の中に、清貧な生活を送るため信者に飲酒を控えるよう「誓約」を求めている教会も少なくないようです。
ちなみに、あの悪名高い「禁酒法」は1920年に施行され、1933年に廃止されました。酒類の製造、販売、輸送は駄目でも、家庭での飲酒はOKだったそうです。ケンタッキーのバーボン工場は閉鎖されましたが、カナディアン・ウィスキーと密造酒が成長しました。シカゴのアル・カポネ一家を有名にした映画「アンタッチャブル」は密売を取り締まる財務局捜査官ネス隊長の物語です。
さて、ケンタッキー州には全部で120のカウンティーがあるそうですが、そのうちアルコール販売が全域で自由な「ウェット」カウンティーはたった4分の1の30で、反対に全面禁止の「ドライ」カウンティーが半数近い53にも上ります。下の表で「お湿り(MOIST)」とあるのは市域だけはウェットなドライ・カウンティー、「一部レストラン限定」は客席が100以上で飲料を除く食事が少なくとも売上の7割を占めるレストランに限って許可するカウンティーで、ジョージタウンのあるスコット・カウンティーも近年住民投票で規制緩和されたばかりです。カウンティーの外れはたいてい辺鄙な場所ですが、「ドライ」と「ウェット」の境界には、必ずと言っていいほど酒屋があるのはユーモラスです。
今年の大晦日は日曜日です。日本ほど特別ではありませんが、ケンタッキーにも、新年を飲んで騒いで迎えたい人は多いようで、大晦日にアルコールが売れるか売れないか、その都度、喧々諤々の議論になるようです。皆さんには、特に深刻な問題ではないことでしょうが、12月10日のレキシントンの新聞(Herald-Leader)に各市の対応が出ていましたので、ご紹介します。興味本位でお読みください。
市名 |
通常の日曜日 |
今年の大晦日 |
Lexington |
酒屋とバーは終日お休み。飲料以外の売上が5割を越すレストランは午後1時〜11時。一部ホテル等は午前2時30分まで可。 |
バーもレストランも午前1時まで開けていられますが、午後11時以降はビールとワイン・クーラー以外の酒類は提供できません。 |
Louisville |
バーやレストランは通常午後12時、許可を取れば午前2時または4時まで営業できます。酒屋は日曜日も午後1時から9時まで営業できます。 |
大晦日も同じ。 |
Frankfort |
アルコール販売はできません。 |
例外として許可されます。 |
Georgetown |
アルコール販売はできません。 |
扱いを協議中です。 |
Nicholasville |
ドライ・カウンティー |
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Richmond |
アルコール販売はできません。 |
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Winchester |
アルコール販売はできません。 |
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Paris |
アルコール販売はできません。 |
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Covington |
日曜日のアルコール小売免許を持っているお店は午前1時まで、さらにナイトクラブ免許を持つバーは午前2時30分まで営業できます。 |
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Bowling Green |
100席以上で飲料以外の売上が5割を越すレストランに限り、午前2時までアルコールを提供できます。 |
大晦日も同じ。 |
Paducah |
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扱いを協議中です。 |
Henderson |
午後1時から9時まで販売できます。 |
午前2時まで販売できます。 |
Lebanon |
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午後2時から午前1時まで酒屋を除くアルコール販売免許を持つお店で酒類の提供を認める方向で検討中です。 |
Mayfield |
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レストランは午後5時から午前2時までの販売許可を州政府に申請することができますが、今のところ誰も申請していません。 |
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