寄稿
(Super Ball と Super Bowl)
全米燃え!! スーパーボウルの季節です
(編集者注)スポーツに詳しいAさんの寄稿です。米国の4大スポーツと言えば、野球、バスケット・ボール、ホッケーと今回のテーマ…アメリカン・フットボール。中でも、最強のプロ・チームを決めるスーパー・ボールは、あらゆるスポーツ祭典の最高峰です。アメフトを知らない方にも気軽に読める記事を書いてもらうようお願いしたのですが…Aさん、ちょっと難し過ぎますよ。というわけで、私から説明を補足させていただきます。
スーパー・ボウルの歴史
1920年の設立以来、最大のプロフットボールリーグとして繁栄してきたナショナル・フットボール・リーグ(NFL)ですが、1960年に強力なライバルが現れました。テキサスの石油成金
H.L.ハントの息子ラマー・ハントが8チームからなるアメリカン・フットボール・リーグ(AFL)を設立し、自身もダラス・テキサンズ(現カンザスシティ・チーフス)の創始者となって、NFLや大学から有力な選手を次々と獲得したのです。
これに端を発する両リーグの札束合戦を経て、1966年6月にNFLとAFLは合併を発表、そして1967年1月に両リーグのチャンピオン決定戦を行うことになりました。記念すべき初チャンピオンシップは1967年1月15日にロサンゼルスのオリンピックコロシアムで行われ、NFLチャンピオンのグリーンベイ・パッカーズがAFLチャンピオンのカンザスシティ・チーフスに35-10で勝利、先輩リーグの意地と貫禄を見せました。今年は40周年となる記念すべき大会です。
スーパー・ボールとスーパー・ボウル
(編集者注)アメフト用語のボウルは、お椀型の容器「Bowl」…スタジアムが大きなお椀の形をしているからです。一般的にボウル・ゲームといえば、その年に活躍した大学のアメフト・チームがシーズン終了後に選ばれて戦う名誉ある招待戦のこと。日本でも元日に放送されるローズ・ボウルは1902年に始まった元祖ボウル・ゲームです。それに対してスーパー・ボールは、ポンポン跳ねる「Ball」…1965年に発売されたおもちゃのボールです。
最初はAFL-NFL World Championship Gameと名づけられていましたが、第3回から「Super
Bowl」と名前を変え今に至っています。何でもラマー・ハントの娘がスーパー・ボール(Super
Ball)で遊んでるのを見てひらめいたとか。そのスーパー・ボールはオハイオ州キャントンのプロフットボール殿堂に飾ってあります。
両リーグは1970年に正式に合併し、旧NFLのチームはナショナル・フットボール・カンファレンス(NFC)として、旧AFLのチームは旧NFLよりボルティモア(現インディアナポリス)・コルツ、ピッツバーグ・スティーラーズ、クリーブランド・ブラウンズ(現ボルティモア・レイブンズ)の3チームを移籍させてアメリカン・フットボール・カンファレンス(AFC)となり、チームの新規参入や身売りを経て現在のNFC・AFC各16チームの現在のシステムが出来上がりました。
スーパー・ボウル・パーティ
全米最大のイベントであり、全米テレビ歴代視聴率トップテンの半分以上を押さえているスーパー・ボウル。アメリカ人家庭ではいろいろな工夫をして盛り上がります。職場や学校の友達からスーパー・ボウル・パーティのお誘いが来たら、参加して一緒に盛り上がりましょう。「ルールがわからないし……」と言う方はHP「アメリカン・フットボールの部屋(ルール)」 で勉強すれば試合を楽しむことができるかも?
出場チーム紹介
スーパーボウルに出るチームを簡単に紹介、誰に注目すればいいかもバッチリ!!………と大見得を切っては見たもののカンファレンス決勝は1/21。こうなったら準決勝に出場した8チーム全て紹介しちゃいましょう
AFC編
☆インディアナポリス・コルツ
クォーターバックのペイトン・マニングはマスターカードのコマーシャルでは「D-CAF!!
(ドン、ドン) D-CAF!!
(ドン、ドン)」とお茶目な姿をさらけ出してますが、フィールドにでは冷徹な勝負師としてゲームプランの立案、実行を遂行する現役最高のクォーターバックの一人。彼とレシーバーのマービン・ハリソン(88番)、そして新人ながら1000ヤード走ったランニングバックのジョセフ・アダイを擁しリーグ3位のオフェンス力を誇ります。半面ディフェンスはピリッとせず、特にランディフェンスは最下位の体たらく。プレーオフ初戦でランプレーに強いカンザスシティ・チーフスを撃破した勢いを持っていけるか?(編集者注)チームのロゴは馬蹄…チーム名は有名なピストルのブランドではなく若い雄馬の「Colt」。
☆ボルティモア・レイブンズ
ラインバッカーのレイ・ルイス(52番)を中心とする、伝統的にディフェンスの強いチームだったが、今シーズンよりフリーエージェントとして加わったクォーターバックのスティーブ・マクネアー(9番)がMVPをマニングと同時に獲得した頃の勢いを取り戻しての快進撃。他のチームのような爆発力はないものの堅実さは随一。(編集者注)メリーランドのバルチモアは怪奇小説で有名なエドガー・アラン・ポーのゆかりの地…だから「(不気味な)カラス=Ravens」?
☆ニューイングランド・ペイトリオッツ
過去6年間に3回のスーパーボウルを勝ち、また毎年のように優勝戦線に絡んでくる。クォーターバックのトム・ブレィディー(#12)はビザのコマーシャルにレギュラー出演中。マニングのように輝かしい成績は残していないものの大事な試合での大事な時間帯にことごとくビッグプレーを決めるクラッチプレーヤー。(編集者注)本拠地はマサチューセッツ州ボストン…独立戦争の緒戦を飾った土地だけに「愛国者=Patriots」。
☆サンディエゴ・チャージャース
今年のMVPであるLTことラダニアン・トムリンソン(ランニングバック、21番)を擁し相手チームをフィールドの端から端まで引きずりまわす。ヘッドコーチのマーティ・ショッテンハイマーは古巣のクリーブランド・ブラウンズ、カンザスシティ・チーフスで果たせなかったスーパーボウル出場を狙う。(編集者注)「Charge」といえば突撃です。
NFC編
☆フィラデルフィア・イーグルス
シーズン途中でエースクォーターバックのドノバン・マクナブ(5番、スープのコマーシャルのレギュラー)を欠く非常事態に見舞われながらもバックアップのジェフ・ガルシア(7番)の踏ん張りとキッカーのデイビッド・エイカーズ(2番)の神がかり的な決勝フィールドゴールでここまで残ってきたが、どこまで体力が残っているか?(編集者注)独立宣言起草の地フィラデルフィア…アメリカの象徴:鷲(Eagle)がシンボルです。
☆ニューオーリンズ・セインツ
チーム40年の歴史でプレーオフで1勝しかしたことのない弱小チームだったが、ハリケーン・カトリーナからの復興を目指すニューオーリンズ市民の期待に応えて第二シードを獲得。チャージャースから移籍してきたクォーターバックのドリュー・ブリーズ(9番)とドラフト1位指名のスーパールーキー、レジー・ブッシュ(25番)がリーグ1位のオフェンスを引っ張る。(編集者注)ジャズの町ニューオリンズ…チーム名は往年のスタンダード「聖者が町にやってくる=When
The Saints Go Marchin' In」にあやかったのでしょう。
☆シアトル・シーホークス
ケンタッキー北部のフローレンス出身でケンタッキー・ハイスクール・アスリート・オブ・イヤーになった事もあるショーン・アレキサンダー(ランニングバック、37番)、ルイビル大学でプレーしたワイドレシーバーのディオン・ブランチ(83番)とケンタッキー州に縁のある中心選手たち。去年はスーパーボウルで負けた借りを返せるか?(編集者注)「Sea
Hawk」はトウゾクカモメの名前だそうです。海軍の攻撃ヘリコプターのニックネームを連想させます。
☆シカゴ・ベアーズ
ラインバッカーのブライアン・アーラッカー(54番)を中心とするベアーズ定番の鉄壁ディフェンスをベースに第一シードを獲得。いかにクォーターバックのレックス・グロスマン(8番)が気分良くプレーできる環境を作れるかで試合が決まる。(編集者注)名前は熊で勇ましいのですが、ヘルメットのロゴはただのシカゴの「C」。
その他見どころ
お祭り騒ぎのスーパーボウルと言うだけに、試合前やハーフタイムのショーは球場がコンサート会場さながらとなります。国歌斉唱はビリー・ジョエル、コイントスはマイアミ・ドルフィンズ一筋にプレーし映画「エースにおまかせ!」にも登場した殿堂入りクォーターバックのダン・マリーノ、ハーフタイムショーはプリンスとビヨンセというある意味微妙な?コンビ。そして30秒で200万ドルとも言われるCM枠を買って公開される新コマーシャルの数々。
テレビから目を離すヒマがありません。(編集者注)2004年のハーフタイム・ショーでジャネット・ジャクソンが胸をはだけ、全米の非難を浴びたのは覚えておられますか?
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