知らないと損、使わないと損…北米ショッピングの常識
@返品の自由
Aクーポン Bメールイン・リベート
日曜日の朝はお休みのお店が多い(特に自動車ディーラーは普通は終日お休み)ですよとか、電気製品などを買うときにはレジで(メーカー保証期間経過後の)追加保証を押売りされることが多いので簡単に「YES」と言わないようにしましょうねとか、北米のショッピングで気をつけなければならないことは色々ありますが、今回は、家計に直結する3つの常識についてレクチャーさせていただきます。
@返品の自由
自由の国アメリカには、お買物を返品する自由もあります。例えば、空調のエア・フィルターを買って帰ったらサイズが違っていたなどということはありませんか?こんな時は、(あまり日にちが経たないうちに)レシートを持って堂々とお店に返しに戻りましょう。
昔は、躊躇する家内に頼まれ、あれこれ「言い訳」を考えてから私が返品に出かけたものですが、お店では拍子抜けするほど理由を問われません。お店のレシートには、どこかに「ご返品の取扱い規定(Return
Goods policy)」があって「いったん封を開けた商品は引き取れないことがあります」と書かれていることも多いのですが、実際には、開封済みでも高い確率で返品に応じてくれます。
TARGETのレシート |
今では家内もすっかりアメリカナイズされ、先日も新品のアイロンの使い心地が悪かったのでその日のうちに返品して、別のお店で別のアイロンを買って来ました。ということは、皆さんも誰かが使った商品を新品と思って買ってしまうことがある訳ですから気をつけてください。ドラッグ・ストアーやスーパーで、包装が破れた商品が売られているのをごらんになったことはありませんか?日本では「不良品だから値引きしろ」と言いたいところですが、アメリカでは(一度返品されたものの)立派な商品なのです。
ディスカウント・ストアのターゲット(TARGET)のレシートは、特別に出来がよいので皆さんにご紹介します。レシートの真ん中に切り取り線があって、他人にギフトのお買物をした場合は、値段表示のない下半分を切り取って(自分の名前と相手の名前を書いて)ギフト・カードに同封してプレゼントするようデザインされています。贈られた人がギフトを返したければ、現金にはできませんがギフト・カードになら換えてもらえる仕組みです。
Aクーポンと会員割引
日本ではポイントカード全盛ですが、アメリカのお買物の世界では、未だにクーポンが活躍しています。それに加えて、アメリカの在庫一斉セールは中途半端な値引きではありませんから、お時間のゆとりがある方が本気で安い買物をなさるなら、セールの時期に、クーポンを持って出かけることです。
新聞のちらしや郵送で届くクーポンの山 |
事前に、お店にメンバー登録しておけば、より効果的。日本では「会員割引やクーポンはセール品には使えません」というのが普通ですが、この国ではホップ(一般割引)、ステップ(クーポン)、ジャンプ(会員割引)の三段跳びもあるからです。
クーポンは、新聞のちらしや郵送で届いたり、スーパーではレジで発行してくれたりしてもらいますが、インターネットでちょっと探せば「Mommy$avesBig」だとか「Wow
Coupons」、「Coupon
Cabin」、「Cool
Savings」などお目当てのお店のクーポンを印刷できるホームページがいっぱいあります。
会員割引やクーポンには消極的で値札一本で勝負するタイプのお店もあります。私が住むケンタッキー州レキシントンのデパートの中では、「メーシーズ(Macy's)」がクーポン派の筆頭で「ディラーズ(Dillard's)」が値札一本派の代表です。写真のメーシーズの広告には、次の週末のセールで、クレジット・カード会員は非セール品も含め(一部商品を除き)15%オフ、衣料品はさらに10%オフ、非会員でも(バーコード付きで何度でも使える)クーポンを切り抜いて持って行けばセール品が10%オフで買物ができると書いてあります。
ブランド品はクーポン対象から外れていることが多いので要注意です。クーポンには、日時と売り場に加えて、範囲がEntire(ブランド品も含む全商品)かRegular(非セール品)かSale/Clearance(セール品)か書かれていますから、良く読んで上手に使いましょう。たいてい一品限りと書いてありますが、クーポンを使い果たしたら、エスカレーターの付近をキョロキョロ見渡してごらんなさい。店員さんが、追加のクーポンを配っているかもしれません。
Bメールイン・リベート
安売りの価格表示にご注意!! |
パソコンやソフト、電気製品の業界を中心に「メールイン・リベート」という割引があります。(お店でも同じですが)ちらしの値引き価格の脇にはたいてい小さな字で注意書きがありますから、しっかり読んでください。例えば典型的な表示は、
Save
$300
59998
after savings
$899.98 ‐$150 instant savings ‐$150 mail-in rebate =$599.98 |
これを読み解くと、「正価$899.98に対し$300の値引き後の最終価格は$599.98。ただし、店頭割引は$150だけですから、消費者はいったん店頭で正価から$150引きの$649.98と消費税を支払ってください。残りの$150はメールイン・リベートでメーカーにキャッシュ・バックを請求してください。」となるのです。
なぜこのような面倒な手続きをさせるのかというと、売る側の理由としては、
1. 商品の名目価格をいじらずに、実質価格を上下させる調整弁として便利。
2. キャッシュバックまでの期間にメーカーは金利を稼ぐことができるとともに、決算で売上を合法的に過大計上することができる。
3. (メーカー保証期間経過後の)追加保証は、店頭でいったん支払う金額(税金は除く)を基準に計算される。
4. 消費者の個人情報を入手して市場調査に役立てることができる。
5. 消費者がリベート申請のためバーコードをはがした後は返品には応じなくて済む。
6. リベート申請を怠ったり手続きに不備があったりして、多くの消費者がキャッシュバックを受け取ることができず、メーカー側の利益になる。
7. 新製品のアピールに有効。
などが挙げられるそうですが、「教育水準の低い人々をカモにするシステム」とアメリカ社会の中でも評判が悪く、電化製品小売チェーンの「ベスト・バイ(Best
Buy)」は2005年の4月にメールイン・リベートを廃止しました。
その他の店でも、最近は、リベートの申請をインターネットで受け付けたり、レシートに簡単に記入できるように工夫したり、改善に取り組んでいますが、中には、お店に備え付けの申請書を持ち帰らないと手続きができないケースもあるので気をつけてください。
リベート申請に必要な書類 |
でも、仕組み自体は難しいものではありませんから、皆さんは、しっかりリベートを回収してください。図でごらんのように、一般的には、@申請書に名前と住所などを書き込みA領収証(現物)とB製品のバーコード(現物)を切り取って添付して郵送するだけです。
ただし、バーコードがはがしにくかったりして、まるで最初から消費者に泣き寝入りさせるつもりのようなメールイン・リベートもあります。
もともと安い食材などでは、数ドルのキャッシュバックなら無視して値段を比べた方がよいでしょう。リベートを申請するのに42セントの切手代がかかるのもお忘れなく…。
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