中西部・南部各地の花粉飛翔カレンダーを作ってみました

　春は樹木、夏はグラス（草）で、秋ウィード（雑草）

　もう秋なのに、今、花粉症の話題はおかしいとお思いかもしれませんが、私たち夫婦は9月に入って目がかゆくなったり鼻水が出たり、あまり重症ではないのですが悩まされています。ケンタッキーは花粉の宝庫…13年前に赴任した当時には｢３年もすれば花粉症にかかるよ｣と妙なお墨付きをくださる方もおられましたが、少し誇張はあるとしても、長くいれば花粉症をわずらう確率は高いようです。

　夏の終わりから秋にかけて花粉症を惹き起こす犯人は、たいていウィード（雑草=Weeds)です。大雑把に言い切ると、春先の花粉は樹木（Trees)で初夏から夏にかけてはグラス（草=Grasses)ですが、地域によって花粉の種類も飛翔のタイミングも異なります。

　本来グラスとウィードには明確な定義も区分はありませんが、グラスは主に単子葉植物を呼ぶ言葉のようですから、ウィードといえば双子葉植物と考えればよさそうです。

　｢飛翔粒子」によるアレルギーを惹き起こす犯人には、もう一つモールド（菌糸類=Mold）があります。これには季節はあまり関係ありません。菌糸類は屋外ばかりでなく屋内にも繁殖しますから、ダニ対策などとともに、家の中を清潔に保ったりエアフィルターを頻繁に取り替えたりすることが重要です。

　花粉症の市販薬ではクラリチン（Claritin)が有名です。処方薬の中ではアレグラが有名ですが、保険で買ってもアレグラは高いので、薬局でジェネリック（generic=同じ成分の別ブランド）を探してもえば、お薬代を節約することができます。ジェネリックは、特許権が切れた医薬品を別のメーカーがコピーしたものですから、効果に差はないはずです。

　ご参考までに、アレルギー試薬の大手Hycor Biomedicalの資料をもとに、南部/中西部/テキサス周辺州の地域別花粉飛翔カレンダーを作ってみましたのでごらんください。

右は花粉を飛散させるマウンテンシダーの雄木 左は未成熟の雄木、奥は緑の濃い雌木(⇒拡大)

　日本で悪名高いスギ花粉に似ているのが、マウンテンシダー（Mountain Cedar)の花粉。直訳すれば山杉ですが、実はヒノキ科ビャクシンという樹木の仲間なので日本でもカタカナ名で呼ばれています。スギ花粉症の皆さんは、冬の12〜1月には、なるべくテキサス方面にお出かけにならないようお気をつけください。

背高泡立草(セイタカアワダチソウ)

　アメリカでは花粉症のことを「ヘイ・フィーバー（Hay Fever=干し草熱）と呼び慣わしていますが、言葉通りなら正にグラス（単子葉植物）の花粉症…あっちでもこっちでも芝生の花粉に反応するようになったらたいへん。夏の間中、ゴルフを楽しむ余裕もなくなってしまいますが、罹患者数は樹木やウィード（双子葉植物）の花粉症に比べると少ないようです。

　秋になると都市郊外の空き地でススキを押しのけてはびこる（日本では）悪役外来種のセイタカアワダチソウですが、ケンタッキー州とネブラスカ州の州花。ゴールデンロッド（Goldenrod=黄金の杖）と名付けられているくらいですからアメリカ人には愛されているのでしょう。派手な存在ですから、昔は喘息や花粉症の原因として強く疑われていたようですが、ブログみのしまクリニック発花粉情報にもありますように、秋の花粉症の主犯はブタクサやオオブタクサのようです。

　地域別花粉飛翔カレンダーは、とてつもなく広大な地域を二つ三つにまとめたもので、年によって気象条件も違い場所によって繁殖する植物も異なりますから、目安として大雑把にご理解ください。下の３つの表は、weather.comの情報をもとに作ったレキシントンとシンシナティ、ルイビルの花粉飛翔カレンダー（濃い色はピーク）です。お互いに車で１時間強の距離でも、それぞれに花粉の飛翔量や飛翔時期が微妙に違います。この情報も、折を見て、各地のページの情報に加えていくこととしましょう。