ps海外赴任、留学、国際結婚…北米、特にアメリカの本土にお住まいの日本人の皆さんに、くらしやビジネスに役立つ情報とローカルなトピックスをご紹介し、ゆたかなアメリカ生活を送っていただくためのメール・マガジンです。

発行者: KJBusiness Consulting, LLC  電話:(859) 223-6449 Eメール: ty@kjbusiness.com   HP: www.jlifeus.com

アメリカ生活・e-ニュース

       アメリカ生活をゆたかにする無料情報紙

2011年5月15日(第59号)

★KDDI mobile ニュース★ 日本語スマートフォン第二弾…新発売のサンヨー ザイオ(Snyo Zio) 手のひらサイズに最新の機能をつめ込みました。重さも105グラムと軽量。連続待受時間は10日間、連続通話時間は5.6時間の優れものです。


異常気象A…ミシシッピー川の歴史的洪水に究極の防災対策

 「禁断の放水路」を開門してもニューオリンズ死守!!

 3月中旬にオハイオ川が増水して、オハイオ州シンシナティの有名な水上レストランが流されかけて閉鎖されました。コニーランド遊園地も隣の競馬場も水の中。1週間後には、ケンタッキー州ルイビル対岸のカジノホテルもすっかり水に浸かって営業停止になりました。

 4月の下旬には、上ミシシッピー川沿いのアイオワ州ダベンポートやミズーリ州のセントルイスで洪水がありました。そこに、歴史的な竜巻の大発生があって大量の雨を降らせたので、ミシシッピー川はたいへんなことになっています。 

歴史的な竜巻大発生(4/25〜28)があった週の累積降雨量(単位: インチ)

 下の図は、5月15日現在のミシシッピー川河畔各地の水位の予報です。1927年のミシシッピー大洪水や1937年のオハイオ川洪水で記録した過去の水位を越えそうな地点もあります。メンフィス付近では、増水の勢いもようやく峠を越え、これからは水位が少しずつ下がっていくようですが、より下流にはいよいよ危険が迫っています。

 メンフィスの少し上流でオハイオ川とミシシッピー川の合流点にあるイリノイ州の町ケイロは水没の危機に瀕し、治水工事の専門家=陸軍工兵隊が、非常手段として対岸の堤防を切って救いました(左の動画)。ケイロの人口は2800人。そのために人口700人のミズーリ州ウィンフィールドの町が犠牲になりました。

 さらに14日には、ルイジアナ州で40年近く閉ざされてきたモーガンザ放水路の非常用水門が開かれました。1927年のミシシッピー大洪水の反省から築かれた「万里の長城」のような放水路です。

 ミシシッピー川の隣には、テネシー方面から流れ下るレッドリバーが並行して走っています。両河川は水路でつながっていて、普段はレッドリバーの水とミシシッピー川の水量の30%が下流のアッチャフラヤ川に流れているのですが、その東西に堤防を築き、ニューオリンズとバトンルージュの港湾や製油所が集中するミシシッピー川河口の工業地帯を救う「水のバイパス」にしたのです。

 前回1973年に開門されたときには下流のモーガンシティ(人口1万3千5百人)で洪水が起きました。今回も、周辺一帯の約2万5千人と1万1千の建物が危険にさらされるそうです。もう一つのボニーキャリー放水路は、非常用といえど、これまでも数年に一度は使われてきました。5月9日に開門済みです。仮にモーガンザ放水路を開門しなければ、ミシシッピー川の水がボニーキャリー放水路からポンチャントレイン湖に流れ込み、ニューオリンズでハリケーン・カトリーナによる洪水の悪夢が再現する事態になりかねません。

Morganza Spillway (Atchafalaya River) & Bonnet Carre Spillway

 今年は西海岸や北東部でも洪水があり、既に全米3分の2以上の州で緊急事態宣言や激甚災害宣言が出ていますカナダでもマニトバ州で洪水があり、その水が、今、ノースダコタやサウスダコタに流れてきているようです。

 ところが、テキサスやニューメキシコ州の周辺では、厳しい干ばつが進行中。ミシシッピー川の放水で水浸しになるはずのモーガンシティ周辺も、今はまだカラカラに乾いているようですから、何とも皮肉な話です。

 最後に、蛇足ですが、アメリカには「地震保険」と同じように一般の火災保険が保証してくれないリスクをカバーする「洪水保険」があります。しかし、あらかじめ政府が呼びかけても、洪水保険をかける住民は少なくて悩みの種になっているようです。