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2013年9月15日(第87号)


中西部を東西に貫く太古の大河テーズ川

 氷河がせき止め、オハイオ川バイパスが誕生

 アメリカの大地の歴史と近代史は、意外に密接な関係にあります。最近もペンシルバニアでシェールオイル・ブームが起きたばかりですが、全米各地に石炭や石油が眠っているのは、北米大陸が赤道直下にあった時代に、海面が上昇してできた広大な浅瀬や沿岸に、大森林ができ、生物が繁栄して死骸を残したからです。

 浅瀬は干上がって岩塩を残しました。動物は塩やミネラルを求めて移動し、そのルートはバッファロー・トレイルと呼ばれる獣道となり、バッファロー・トレイルはインディアン・トレイルとなって、ついには白人の西部開拓ルートになっていきました。


 日本人の皆さんが多数住んでいるオハイオ、インディアナ、イリノイの中西部3州には縦横に多数の河川が流れていますが、並行して掘削された運河で五大湖とオハイオ川が結ばれ、19世紀前半のアメリカの産業発展が支えられました。それもこれも氷河…特に、史上最寒冷で氷河が大きく南に張り出した最終氷期から現在の間氷期にかけて形成された地形です。


 今の氷河期は約3百万年前に北極の氷床が発達して本格化し、四度の氷期と間氷期を繰り返してきていますが、その以前には、中西部三州を貫いてテーズ川という大河が流れていました。テーズ川が氷河でせき止められてできた湖がタイト氷河湖。この地域の氷河の流路を研究したタイト博士(1865–1910)と、最初に痕跡が発見されたウェストバージニア州のテーズという小さな村にちなんで名づけられました。

Teays River & Glacial Lake Tight

 テーズ川は、現在のイリノイ川、ワバシ川、マイアミ川など諸河川の下書きになりました。流路は資料によりマチマチですが、長い間には、何度も大きく流れを変えていたことでしょう。まだ五大湖がなかった時代のことで、北向きに流れていた川の流路は、今となっては分かりません。

 当時のオハイオ川は、ケンタッキー州ルイビル付近までの今より短い川でした。テーズ川の最上流は氷河にせき止められ、氷河湖を作りました。ケンタッキーを北に流れる川も氷河にせき止められ、氷河湖は決壊し、シンシナティ付近の氷河の南限でオハイオ川に直結するバイパスができました。