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2014年2月15日(第92号)

アメリカでもノロウイルスの集団感染が発生

 今年のインフルエンザは「働き盛り」にハイリスク

 グローバル化が進み、最近は日米で冬の感染症の流行のし方が似通ってきているようです。日本では学校給食が原因で児童がノロウイルスに集団感染して大騒ぎになりましたが、アメリカでもファーストフード経由の集団感染が起きています。また、今年のインフルエンザの流行で、例年よりH1N1(いわゆる新型インフルエンザ)の比率が高いのも、日米共通です。


ノロウィルス(ストマックフルー)


 英語で、「風邪」は「コールド」、「インフルエンザ」は「フルー」、「お腹にくる風邪」は「ストマックフルー」ですね?「ストマックフルー」というと何となく軽く聞き流してしまいがちですが、「ストマックフルー」の大半は「ノロウイルス」ですから、十分注意してください。

 アメリカの人口は約3億1千万人ですが、その中で、毎年2100万人がノロウイルスに感染し、約8百人が死亡すると推定されています(別の表現で、アメリカ人は生涯に平均5回ノロウイルスに感染するともいえます)。

 ただし、インフルエンザによる死者は年間4〜5千人と推定されていますから、それと比べればノロウイルスは、さほどこわくない感染症といえましょう。重症になりがちなのはお年寄りと子供で、普通の免疫力がある人なら2〜3日で快復してしまうか、場合によっては症状が全く出ない場合もあるので、なおさら心配ないともいえます。

 ワクチンの開発がなかなか進まないのも、インフルエンザに比べ死亡率が低いせいでしょう。もっとも、一度感染しても1〜2年もしたら免疫がなくなってしまう点は共通です。

 しかし、下の動画(2013年1月)をごらんください。ノロウイルスの問題は感染力が非常に強いことです。インフルエンザが伝染するには、ウイルスが最低1000個必要ですが、ノロウイルスならたった18個のウイルスで十分です。インフルエンザ・ウイルスは体外に出ると2〜8時間で死滅しますが、ノロウイルスは丈夫で数週間も生き続けます。

 ストマックフルーが流行する冬は、エスカレーターのベルトや店のドアなど街のあらゆる場所にウイルスがうようよしていますから、手洗いを頻繁にすること…それも、手洗い用消毒液は効きませんから、普通のせっけんと流水でしっかり洗い流すよう心掛けてください。病院や高齢者施設でも集団感染するくらいで、漂白剤には一定効果がありますが、一般洗剤や消毒液では除去できない難しいウイルスです。

 しかし、どうしても避けたいのは、今回の給食事件のような「食中毒」型の感染です。アメリカでも、12月にカンザスシティでジミージョンズのサブ・サンドイッチを食べて282人が集団感染する事件が起きています。

 家庭でこれを防ぐには、調理者の手洗い励行はもちろんですが、夏の食中毒対策のように、生ものの調理に同じ包丁やまな板を使わないなど基本的な注意が必要です。特に、冷凍物でも生カキは危険です。2012年には、FDA(食品医薬品局)が韓国産のカキや貝類の回収を命じる事件がありました。


今年のインフルエンザ


INFLUENZA Virus

 日本ではインフルエンザが猛威を振るっているそうですね。アメリカでは、昨冬から流行時期が少し早まってきたようで、今年の流行は幸いなことに徐々に下火に向かっています。

 もっとも、流行したインフルエンザのタイプは、日米ともにいわゆる新型インフルエンザが多かったのが特徴です。

 新型といっても、もう5年も経つのでお忘れでしょうが、2009年の春にメキシコで豚インフルエンザが変異して発生。ワクチンが開発されるまで、日本でもアメリカでも大騒ぎになりました。

 今では普通にH1N1型と呼ばれることが多いのですが、このタイプのインフルエンザはお年寄りよりも、働き盛りがかかりやすく、幼児や子供が重症になるリスクが高いので気をつけなければいけません。

 日本ではインフルエンザが3月いっぱい流行している可能性がありますから、日本に出張する機会がある駐在員の皆さんは、今からでも予防接種を済ませておいた方がよろしいでしょう。


鳥インフルエンザ(H5N1・H7N9)


 読者の皆さんには、国際便の飛行機で頻繁に旅行している方も多いので、これからパンデミック(世界的な大流行)が起きる可能性のある鳥インフルエンザについても大雑把に覚えておきましょう。

 2002〜03年にはSARS(サーズ新型肺炎)が流行り、空港の検疫が厳しく制限されましたね。機内感染のリスクも高く、航空旅客が減って旅行業界はたいへんなダメージを受けました。

 さて、現在、流行が懸念されているされている鳥インフルエンザには2種類あります。

 2003年に初めて(鳥類から)人への感染が確認されたH5N1型は、今のところヒト-ヒト感染例はないものの死亡率が6割にも達するこわいインフルエンザです。こちらの対策は進んでいて、ウイルスがヒト-ヒト感染を起こすように変異した場合は医療関係者らに暫定ワクチンを接種して感染拡大を防ぎ、その間に変異後のウイルスを使い新ワクチンを生産する手はずになっています。

 もう一つの鳥インフルエンザは、昨年3月に初めて中国浙江省で確認されたH7N9型のインフルエンザです。病原は特定されていませんが、市場で売られている生きた鳥からの感染が疑われています。流行はたった2ヶ月で中国各地に拡大。一時はヒト-ヒト感染を危ぶむ声もありましたが、各地で市場閉鎖や消毒を行ったところ、夏にいったんは鎮静化しました。

 致死率も20%と高いことから、現在、世界中で最も心配されている感染症です。秋に流行が再発し、今は春節(中国の旧正月)の人々の移動で感染の拡大が懸念されています。一部の都市では再び市場を閉鎖しましたが、路上では生きた鳥の違法取引が横行し、患者の数も急増中というのが現状です。確証はありませんが、近親者でヒト-ヒト感染が疑われる事例も出てきています。