楽で、静かで、吸引力も強いロボット掃除機の機種比較
アレルギー対策にはルンバ800~900シリーズ
時代遅れでお恥ずかしい話ですが、これまで私たちは「想像力の貧困」により、ロボット掃除機の機能を少々あなどってきてしまったようです。しかし、先日ようやく知人の家庭でアイロボット(iRobot)社のルンバ(Roomba)の清掃作業を実見する機会に恵まれ、ロボットの音が想定外に静かで、しかも丁寧に掃除してくれる姿に感銘を受け、ついに購入することにしました。
結果は大正解です。歴史的にいえば、2013年から吸引力の強いルンバが売り出されていたのですね。そもそもロボットは人間の掃除のアシスタントと思い込んでいたのが間違いでした。通りいっぺんの掃除では吸い取り切れないカーペットに深く潜り込んだほこりまでかき出してくれるので、(天井や壁を除き)床掃除はルンバに全面的にまかせるに限ります。私たち人間こそアシスタントで、掃除の邪魔になる家具の位置を時折ずらしてあげれば、ルンバも喜んでくれるでしょう。
以前にもご説明した通り、私たちは戦後の日本人の暮らしをゆたかにした雑誌「暮らしの手帖」のように「商品テスト」で各社商品の優劣を比較することはできません。ただ、ルンバについてだけは、アメリカの消費者の意見も読み商品ごとの違いをじっくり理解しましたので、これからルンバや他のロボット掃除機を購入なさる皆さんは、以下の説明を参考になさってください。
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ルンバの製品ライン =====
下の表は、現在アメリカで販売されているルンバの製品ラインです。結論から先にいうと、主に清掃能力の顕著な差を重点的に考慮し、標準的な日本人のご家庭にはルンバ960か、または私たちが購入した今年5月に売り出したばかりのルンバ890がお勧めといえましょう。600シリーズとの最も大きな違いは、吸引力が5倍で、しかもアレルギーを引き起こすハウスダストまで捕らえてくれる点…ルンバ980は、さらに強力な吸引力でカーペットを深~くきれいにしてくれるとのことですが、私たちの体験的には、日本人は土足で歩き回らないので、ルンバ890か960で十二分と感じています。
お勧め |
厚いカーペットの部屋がなく、ペットを飼わず、アレルギーに悩んでいないご家庭向き |
標準的な日本人のご家庭向き |
土足でカーペットの上を歩くご家庭向き |
現行機種 |
Roomba
614 |
Roomba
690 |
Roomba
890 |
Roomba
960 |
Roomba
980 |
定価 |
$299.99 |
$374.99 |
$499.99 |
$699.99 |
$899.99 |
現在の実勢価格 |
$225~ |
$275~ |
≒$500 |
≒$600 |
≒$800 |
基本性能 |
全フロアタイプ対応・三段階清掃・自動充電・ほこり発見センサー |
吸引力 |
× 1 |
× 1 |
× 5 |
× 5 |
× 10 |
稼働時間 |
充電1回で60分 |
充電1回で60分 |
充電1回で60分 |
充電1回で75分 |
充電1回で120分 |
Wi-Fi接続 |
ー |
○ |
○ |
○ |
○ |
予約清掃 |
ー |
○ |
○ |
○ |
○ |
糸くず巻込み回避 |
ー |
ー |
○ |
○ |
○ |
アレルゲン集塵 |
ー |
ー |
○ |
○ |
○ |
同階全室一括清掃 |
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ー |
ー |
○ |
○ |
自動充電/再開 |
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ー |
ー |
○ |
○ |
清掃マップ・レポート |
ー |
ー |
ー |
○ |
○ |
清掃方式詳細設定 |
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ー |
ー |
○ |
○ |
カーペット強力清掃 |
ー |
ー |
ー |
ー |
○ |
取敢えずロボット掃除機について全く予備知識のない方を対象に基本性能をご紹介しますが、ルンバはもともと地雷探知ロボットを作っていたメーカーが開発しただけあって、壁はもちろん階段の縁を感知して戻ってくるなど、人が目を離していてもひとりで部屋中をくまなく掃除する高い運動性能を備えています。板敷でもタイルでもカーペットの床にも対応しています。
右の写真のような付属器具を使うと、壁のない所に「見えない壁」を作ったり、ペットの餌入れがある場所など特定の場所には近づかないよう設定することもできます。ほこり発見センサーがついていて、泥やほこりがこびりついている箇所は特に丁寧に掃除します。
次の動画は、吸引力が強いルンバ800~900シリーズの集塵システムに関する説明ですが、ルンバは左の写真のように
全ての機種について、@(Sweep):
回転するサイドブラシで壁際のほこりを自機の足下に掃き集め、A(Grab):
向き合って回転する2本の円筒形ブラシで床からほこりをつまみ上げ、B(Suction):
ほこりを吸い込んで集塵容器に集め、フィルターを通して清浄な空気を吐き出す…三段階清掃システムを採用しています。
前述のように800~900シリーズでは、A段階のブラシの改良で真空状態を作り吸引能力を高めた点とB段階の改良フィルターで10ミクロン単位の微粒子まで集塵できるようになった点が高く評価されます。
ルンバ800~900シリーズの吸引システム
取扱い説明書には最初の充電に2時間かかるとありますが、実際に使い始めてからは、前の掃除の電池残量もあるので不便を感じるほど充電に時間はかかりません。充電1回につき稼働時間は600シリーズと890で60分ですが、多少大きなカーペットの部屋でも、特別に汚れていない限り掃除し切れる時間です。掃除が完了するとルンバは充電器の場所に戻って来て、次の掃除に備え充電を始めます。
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ルンバ890 vs. ルンバ960=====
890と900シリーズの違いは、同階の全ての部屋を一度に掃除しようとした時に現れます。960の1回の稼働時間は75分と890に比べさほど長くはありませんが、電池が切れそうになると充電器に戻り、充電完了後に残りの掃除を再開してくれます。890も自動的に充電器に戻るところまでは同じですが、掃除は未完了でキャンセルされてしまいます。充電後にリモートで掃除を再開させることは可能ですが、掃除し終わった場所を繰返し掃除することになり、いつまでも待っても掃除は完了しません。
900シリーズでも、集塵容器にほこりが満杯になれば、ルンバをいったん停止してヒトが容器をカラにしてあげなければなりませんが、部屋数が多くても毎日のように掃除していれば、あまり心配しなくてよさそうです。そのあたりは、一度に何室まで掃除が可能か実際に試してみるしかありません。日本メーカーの製品には、1ヶ月に1回ほこりをまとめて廃棄する機種もあるようですから、いずれルンバにも同様の機種が加わるかもしれませんね。
890と960のお値段には定価で200ドルの差がありますが、実勢価格では100ドルの違いですから、お徳用な890を選ぶのも、微妙に賢い960を選ぶのも、悪くないご決断です。外出中に全室を毎日お掃除なさらないと気が済まない方は、是非960。890は今年の5月に発売されたばかりで値引きがないのですが、いずれ実勢価格が下がったら一層お徳用の機種となるでしょう。
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ルンバ890 vs. ルンバ960=====
ルンバがあれば、原則的に従来型の掃除機は必要なくなります。階段や壁や天井の掃除用に、左の写真のようにヘッドがコンパクトで、片手で持てるほど軽いコードレスの掃除機を1台持っているとよろしいでしょう。
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床拭きロボット ブラーバ =====
アイロボット社は、床拭きロボットも販売しています。こちらの方は私たちもまだ試していないので、体験的な説明はできませんが、2機種あるうちのどちらが優れているかは価格では決められません。ご家庭の使い勝手を考えて、よく比較した上でお選びください。
Braava
Jet 240 |
Braava
380t |
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定価
$199.99 (現行実勢価格 ≒$170)
サイズ
6.7×7.0×3.3インチ…キッチン・浴室にお勧め |
定価
$299.99 (現行実勢価格 ≒$250)
サイズ
8.5×8.5×3.0インチ…板敷・タイルの広いスペース |
土足で歩き回るアメリカ人の家庭では、ブラーバ380tで毎日のように拭き掃除をした方がよいのでしょうが、日本人が主にキッチンと浴室用に使うなら、20cm以下の狭い隙間にも入っていけるブラーバジェット240の方が便利な気がします。
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